伊岡瞬 冷たい檻(中央公論新社・文庫) | 勝手に映画紹介!?eigasukiの読書忘備録用ブログ

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何年か前に強制退会トラブルの時に、予備で登録したID。本家ブログの更新を再開しています⇒http://ameblo.jp/eigasuki/ ここでは読んだ本の忘備録を書くつもりです。書籍購入はブックオフ中心なので、新作は少ないかも?

冷たい檻 (中公文庫 い133-1) [ 伊岡 瞬 ]

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ブックオフの古本110円で入手…2020年4月発行、伊岡瞬の「冷たい檻」を読了。2018年発行の同名単行本の文庫化。とある地方の田舎の村で駐在所の警察官が失踪…ある組織から派遣された元警官の調査官(物事をスムーズに進めるために、接触した相手に警察関係者と信じ込ませるが実は…)が、失踪警官の後任警官と共に、真相を調べ始めるという全体の大きな流れを縦軸に、村に巣食う利権絡みの怪しげな陰謀も渦巻いていて、その他、大勢の村人たちもとっかえ、ひっかえ物語に関わってくるという群像スタイルな構成。村にある養護施設の小中学生や、更生施設の訳あり青年にまつわる、一見本筋には関係なさそうな話から、老人ホームで起きた不審死事件…果ては猟奇的な殺人事件まで起きる。それどころか、一応、メイン主人公とみられる“組織の調査官”が…警官時代に、自分の息子を誘拐されるという事件に遭遇してて、それも未解決のまま。冒頭で描かれる、その過去の出来事からなかなかスリリングで、一気に物語に惹きこまれた。登場人物が多く、かなり大風呂敷を広げ、様々なことが起きるので、ちょっと惑わされてしまった部分もあり、本当に1冊で物語が完結するんだろうかと心配になったりもしたんだけど…物語が佳境に入り、なんとなく事件の全体像が見えてくると、ああ“そこもちゃんと解決するのか”っていう安心感も生まれてくる。終盤まで、あの話とあの話が繋がるとは思わなかった、すっかり見過ごしていた。頭の中で繋がってからは、逆に…作者の“ひっぱり”がもどかしくなるほどであり、最後は綺麗にまとまりすぎじゃねーかなんても思っちゃう(笑)いや、素直に感動したと白状しておこう。田舎で警官が行方不明になったり、村人たちの濃い過ぎる関係性だったりっていうシュチエーションは、何年か前に読んだ呉勝浩の「ライオンブルー」にちょっと似てるなって思ったけど、「ライオンブルー」とはまた違う衝撃展開も色々とあった。小学生が、怪しげな神様とか持ち出して…オカルトめいた話が始まった時は、どうなることやらと思ったが…終わってみればすべて繋がったな。ヤバそうなヤツが意外とみんないい人だった…いや印象通りな悪いヤツもいたか(笑)面白かった、好きなタイプの作品だな。


伊岡瞬 冷たい檻(中央公論新社・文庫)