宍戸錠 シシド 小説・日活撮影所(KADOKAWA・文庫) | 勝手に映画紹介!?eigasukiの読書忘備録用ブログ

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何年か前に強制退会トラブルの時に、予備で登録したID。本家ブログの更新を再開しています⇒http://ameblo.jp/eigasuki/ ここでは読んだ本の忘備録を書くつもりです。書籍購入はブックオフ中心なので、新作は少ないかも?

シシド 小説・日活撮影所 (角川文庫) [ 宍戸 錠 ]
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ブックオフの古本で入手…2012年11月発行、宍戸錠の「シシド 小説・日活撮影所」を読了。2001年に新潮社から出ていた同名の単行本に加筆・修正し文庫化したもの。長らく積読本の中にあった…何なら、著者の“エースのジョー”がまだご存命であった頃からずっと入手済みだった…なんせブックオフの値札が105円(110円でも、108円でもない)だからね(笑)いやね、この文庫の他に…「シシド 完結編 小説・日活撮影所」という作品が単行本で出ており、そちらを古本で見つけてからイッキに読もうなんて思ってたんだけど、いまだに入手できていないという現実(汗)たまたま今週は“映画にまつわる”小説を続けて2冊読んだので、キリよくもう1冊同じ路線で行こうと考え、ようやく本書を手にしたという。内容は宍戸錠本人が日活のニューフェイス1期生として入社したところから始まり(プロローグとして、最初にトレードマークである“ほっぺた”に関する話題から入るけど)、下積み時代の苦労話やら(三國連太郎や森繁久彌とのからみ)、今だったら完全に“ブラック企業”な業界の内幕模様が紐解かれていく。小説の体をしているので、ぜんぶがぜんぶ事実ではないのかもしれないが、役者名やスタッフ名、そして作品名なども実名で登場するので、8割、9割は事実なんだろうなって思いながら読みふける。もともと日活映画は好きで、ケーブルテレビの映画チャンネルなどで率先して見てるんだけど、そこまで日活という会社の生い立ちに詳しいわけでもない。まぁ、本書の前半で頻繁に登場する“五社協定”の話なんかは、かろうじてわかるけどな。時には宍戸錠本人を含むスターたちの色恋事情なども生々しく、赤裸々に描かれ…とにかくよく知っている“エースのジョー”が誕生するまでは長い道のりがあったんだなと。そして、石原裕次郎や小林旭の登場で、徐々に変化が現れる。自分は裕次郎よりも旭とジョーの作品が好きで、そこそこ見ている方である。だからか、旭の活躍が目覚ましくなってくると、知ってるネタも多く出てきて、いっそうイメージがしやすくなったな。新人時代の旭が、スタッフ相手に啖呵を切るところは、映画のワンシーンのようで、より目に浮かびやすかった。残念ながらいいところで“つづく”となってしまった…やはり未所有の“完結編”とワンセットの読み物のようだ。撮影所の内幕ものなので、昨日まで読んでいた真藤順丈の「七日じゃ映画は撮れません」と雰囲気が似ているところがある、あちらは完全にフィクションだけどな。でもって、本作も人物名、作品名、専門用語がたくさん登場するので、注釈が用意されてるんだけど、本文にかっこ書きで併記されていた「七日じゃ映画は撮れません」と違い、必要な箇所だけ、見開いたページの左側ページの隅にまとめて記載されているので、わからない情報、気になる部分だけを読めばいい感じ…決して本文の邪魔にならない書き方だった。プロの作家が書いたものより、俳優が書いた文章(実際に本人が書いてるかどうかはわからんけど)の方が読みやすかったよね。続きが読みたい、せめて完結編も文庫化して!


宍戸錠 シシド 小説・日活撮影所(KADOKAWA・文庫)