月原渉 首無館の殺人(新潮社・文庫) | 勝手に映画紹介!?eigasukiの読書忘備録用ブログ

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首無館の殺人 (新潮文庫) [ 月原 渉 ]
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海外ドラマでお馴染みNCISを題材にしたミステリー「月光蝶 NCIS特別捜査官」(あのドラマと関連はありません)という作品を読んだことがある月原渉の文庫書下ろし「首無館の殺人」…2018年9月発行を、ブックオフの古本110円で入手。一昔前の新本格ミステリーを彷彿とするようなタイトル、どうやら“館もの”っぽいということで、読む前から期待が高まる。明治を舞台に、複雑な家族関係のとある御金持のお屋敷で…連続首無事件が発生!その家に住む“記憶喪失の娘”視点で物語は展開され、その“記憶喪失の娘”に専属的に従事ている使用人がずば抜けた推理力・観察力で事件の真相に迫っていく。どうやらこの使用人が活躍する別の作品があるようで、本作は続編のような扱いらしいんですけど、単独で読んでもまったく支障はなかったです。むしろ、前作を知らないことにより、その使用人がミステリアスに感じ、より物語に惹きこまれやすかったかな?前半の語り口はオーソドックスな“館もの”として面白く読め、中盤ではもう一つ本格ミステリーの定番設定が明かされたりもする。時代設定は異なるものの、首なし死体を題材にしているので、麻耶雄嵩の「翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件」あたりもちょっと思い出したくなるんだけど…全体的なボリュームがいささか物足りない。連続殺人のテンポも良すぎて、なんか軽いんだよね。記憶喪失の主人公ということで…薄々は最終的な仕掛けも予想できたし、もう少し読者を最後まで欺けるような仕掛けや魅力的な文章があれば、本格ミステリーとして本当に化けたと思う。浮遊する首、開かずの扉、幽閉塔…面白いアイデアもあるだけに、ちょっともったいない。


月原渉 首無館の殺人(新潮社・文庫)