太田愛 犯罪者 下(KADOKAWA・文庫) | 勝手に映画紹介!?eigasukiの読書忘備録用ブログ

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犯罪者 下 (角川文庫) [ 太田 愛 ]
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太田愛「犯罪者」の下巻も無事に読了…白昼起きた通り魔殺人からはじまり、大企業や政治家も巻き込んだ陰謀に発展、その陰には複数の幼児を襲った謎の奇病が関わっており…事件にたまたま巻き込まれてしまった人たちが、真実を明るみにしようと奔走とする、みたいなのが全体を通したストーリー。リアルタイムの時系列で進行している事柄は、色々なことが起きるのでハラハラドキドキなのだが…けっこう膨大な数の脇役キャラたちの、過去とかそういったものも必要以上に掘り下げていて…若干、テンポの悪さも感じた。まぁ、下巻の中盤あたりまで読み進めると…枝葉に見えたような話も、実は伏線になっていたみたいところがあり、無駄ではないのかなとも思うんだけど、やっぱり下手な翻訳小説を読んでいるような回りくどさを感じてしまったかな?ただ、“あとは読者の想像におまかせします”的に、肝心な最後がヤリ逃げなことが多い他のミステリー、エンタメ小説に比べると…メインストーリーのその後まで、丁寧に描いているのは、なんでもきっちり筋の通った説明をしたいこの著者ならではの味わいなのかななんても思う。それすらも、長すぎて…まだあるのかって思ってしまったけどな。文庫の帯に“予想をはるかに超えた衝撃の結末”と書いてあったが…最後の後始末部分では、そこまで驚くどんでん返しはなかった。やっぱり“進行中の事件”のクライマックスが驚きのピークだったかな?作中に登場する奇病自体は著者の創作だと思われるが…大企業と政治家の癒着、マスコミ報道の限界、ネット社会の在り方等、社会派なメッセージは強く伝わった。日本というのはつくづく“臭いものに蓋をしろ”な隠蔽体質なんだなって思いにもなる。2012年発表の作品だが…それこそ賑わすだけ賑わし、結局、尻切れトンボで終わってしまった誰かさんの“モリカケ”問題なども色々とダブらせてしまうところがあった。政治家なんてみんな胡散臭い…(笑)。テーマ的に地上波では無理だと思うが、WOWOWあたりで映像化してくれたら、見応えのあるドラマになりそうだな。作者が脚本家なので、ぜひそういう企画を期待したい。


太田愛 犯罪者 下(KADOKAWA・文庫)