アンデシュ・ルースルンド & ベリエ・ヘルストレム 制裁(早川書房・文庫) | 勝手に映画紹介!?eigasukiの読書忘備録用ブログ

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何年か前に強制退会トラブルの時に、予備で登録したID。本家ブログの更新を再開しています⇒http://ameblo.jp/eigasuki/ ここでは読んだ本の忘備録を書くつもりです。書籍購入はブックオフ中心なので、新作は少ないかも?

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制裁 (ハヤカワ・ミステリ文庫) [ アンデシュ・ルースルンド ]
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この前読んだ、“2017年版このミス”の海外部門で1位を獲った「熊と踊れ」のアンデシュ・ルースルンドが、「熊と踊れ」の時とは別の作家と共著した警察ミステリー。過去に別の出版社から発刊されていたらしいのだが、その出版社の倒産に伴い絶版…今回の「熊と踊れ」の快挙に伴い、同じハヤカワ文庫での復刊に至ったそうだ。復刊されたのは奥付の情報によると今年の2月頃…定価は960円(税抜)だが、今回も嬉しいことにブックオフの100円本で古本入手。幼気な少女にイタズラした挙句に惨殺するヘンタイ殺人犯が、収監中の刑務所から怪我の治療を受けるための病院へと護送されている最中に、刑務官や運転手を襲って脱走…再び過去の事件と同様の手口の犯行を企てようとしていた。一方…離婚を経験したシングルファーザーの中年男性(職業・作家)の娘が預け先の保育園から行方不明になってしまい、父親は保育園に送り届ける際に脱獄したヘンタイ殺人犯を目撃していた!“制裁”というタイトルなので自ずとその後の展開も想像できる…まぁ、悲劇は回避できず、被害者の家族が怒りに身を震わせる展開だろうと。実際にほとんど想像した通りだったりするんだけど、印象的には…えらく地味に、あっさりとしたブロンソン映画、Death Wish(狼よさらば)のようである。事件が発覚するまで、犯人が過去に起こした犯行の詳細や、新たな犯行を模索する様子はやたらと濃厚な描写で詳細に描いていた気がするんだけど、肝心な“復讐”はあっという間という感じだった。ただし、本作は…相手に復讐して終わりというだけの話ではなく、その後の顛末、または事件によって社会に波及していく余波を、全500ページのうちの、残りの200ページくらいを使って描いていくと。また、物語の開始当初から、ヘンタイ殺人犯が収監されていた刑務所内の、他の受刑者たちの人間関係なども並行して描かれており…このあたりも“映画の刑務所もの”を見ているような、詳細な描写が多めだった。いったいこの刑務所内部の話がどう本筋に関わってくるのか?自分は、犯人が刑務所に連れ戻されて、他の受刑者たちから“リンチでも受ける=制裁”なのかななんても考えていたんだけど…それはまったくの見当違いであった。ページの残り数も少なくなってくると、“そっちだったか”という関りの予測もできて、素直に驚かされたけどね。「熊と踊れ」に比べると…よりノンフィクションのような生々しさが強く、読むのには苦労したかな。帯に書かれた情報によると、作中に登場した刑事“グレーンス警部”が活躍するシリーズものの第1作目でもあるようなんだけど…この刑事が、「熊と踊ろう」に出てきたヨン・ブロンクス刑事なんかと比べるとかなり癖が強く、そんなにまだ魅力を感じなかったのは自分だけだろうか?どこの国でも、“法律”というものは犯罪者、悪人に有利に出来ていて、正直者が馬鹿を見るのではないかなんても考えさせられる社会派っぽいテーマなんかは興味深く読め…日本でも数多くいるに違いない“ヘンタイ性犯罪者”に、お前らへの世間の目はこんなもん、いつかこうなるかもしれんぞというのを自覚させるために、強制的に読ませてやりたいななんても思う。


アンデシュ・ルースルンド & ベリエ・ヘルストレム 制裁(早川書房・文庫)

アンデシュ・ルースルンド & ベリエ・ヘルストレム 制裁(早川書房・文庫)