先週の読書:「屋久島トワイライト」「ギャップ GAP」 | 勝手に映画紹介!?

先週の読書:「屋久島トワイライト」「ギャップ GAP」

先週の読書:「屋久島トワイライト」「ギャップ GAP」

 

そうそう、この間のAmazonのプライムデーで、“Kindle Unlimited - 3か月無料で読み放題”というキャンペーンを実施していた…以前、“3か月199円で読み放題”というキャンペーンを利用したことがあったんだけど、Amazonのキャンペーンは新規登録、初登録でなくても再利用できるみたいで、ちゃんと無料が適用されたので…とりあえず再登録して見た。使わなきゃ勿体ないので、期限内は無料の電子書籍も色々と読んでみたいと思っている。調ベてみると、未読の樋口昭雄センセイの作品が読み放題にいっぱいあった。さっそく1冊選んで読んでみたよ。

 

そんなわけで、先週は電子書籍と紙の文庫本、合わせて2冊ほど読了。まず1冊目はKindle Unlimitedで見つけた樋口センセイの「屋久島トワイライト」…以前読んだ北朝鮮が攻めてくるアクション小説「還らざる聖域」と同じ屋久島が舞台、メイン登場人物も一緒なんだけど…こちらは伝奇系のオカルト小説になっている。山田章博センセイの表紙イラストも美麗で素敵だ。2冊目は西村健の「ギャップ GAP」…文庫が出たのは12年前、最初に作品が発刊されたのは26年前。多重人格が主人公の奇抜なミステリー…けっこう前に古本で購入、積読本の中にあった。

 

西村健は…デビュー初期の、やたら分厚い講談社ノベルスは続けて何冊か読んでるのよ、もう内容もうろ覚えだけど、けっこう面白かった。この作品もタイトルは記憶があるけど、当時は読んでなかったなぁ。うーん、久しぶりに西村健の文章に触れたけど、やっぱり面白いな。でも、比較的、マイナーな作家、作品に分類されるのかな?文庫化でさえ12年経ってるのに…今現在Amazonのレビューは文章での書き込みは0件、点数評価だけ1件あって5点が付けられていた。今週の“推しの1冊”は古いけど、西村健の「ギャップ GAP」にします…お薦めです!

 

 

 

2022年9月発行の樋口明雄著「屋久島トワイライト」…こちらは以前読んだ「還らざる聖域」と同じ屋久島を舞台にした作品であり、登場人物なんかも一緒、世界観は同じなんだけど…「還らざる聖域」は、屋久島に北朝鮮が攻めてきたというガチガチの本格アクション、著者が得意とする山岳アクションだった。一方、今回の「屋久島トワイライト」は…オカルト雑誌の記者が取材にやって来きて、屋久島が異界と繋がってしまったり、妖怪が跋扈し、巫女まで出てきて邪悪な存在と戦ったりもする、伝奇系、バトルホラーと…全くジャンルの異なる作品になっている。

 

樋口作品で近いといえば、角川(KADOKAWA)のホラー文庫で展開された“ロスト・ゾーン”シリーズ3部作だろうか?オカルト雑誌の女性記者がメイン登場人物の1人(「還らざる聖域」には出てきていない)というのも共通点だ。もしかして、“ロスト・ゾーン”シリーズに登場したのと同じじオカルト雑誌なのかな?なんて思って、調べてみたら、さすがにそこは繋がってなかったみたいだ。「還らざる聖域」のノリを期待していると、若干、面食らってしまうかもしれないけど…自分は“ロスト・ゾーン”シリーズも楽しめたし、これはこれで充分に面白いと思った…。

 

“恐怖の村シリーズ”などを撮った清水崇監督あたりに、ぜひ実写映画化してもらいたい。ワンチャン、「還らざる聖域」よりは映像化も実現しやすいのではないだろうか?「還らざる聖域」同様に、リアルな屋久島もちゃんと歩き回るので、いつもの山岳小説としての面白さもちゃんと味わえる。時系列的には「還らざる聖域」の後の話になるのかな?屋久島が戦場と化した“あの事件”を…作中人物が引きずっているような描写もあって(匂わせ程度で、詳細はいっさい描かれていなかったけど)、やっぱ世界観は同じなんだよなと、あらためて納得もするのであった。

 

 

 

2012年4月発行の西村健著「ギャップ GAP」…もともとは角川書店から1998年に出ていた同名作品の文庫化であり、加筆・修正が加えられているそうだ。文庫の発売が12年以上も前なんだけど、作品自体はさらに古く、かれこれ26年も前に書かれたものだったのね。古本で入手したのもけっこう前…積読本の中にあった。西村健は…デビュー初期の講談社から出ていた、やたら分厚いノベルス(バー“オダケン”が出てくる一連のシリーズ)は読んでいたし、なんとなくこの作品もタイトルだけは記憶にあるけど…実際に手には取らなかったんじゃないかな?

 

どうやら非シリーズ、独立したハードボイルドミステリーなんだけれども…主人公の設定が多重人格という、なかなかぶっ飛んだ作品でもある。サイコセラピストと探偵を兼業している主人公には、他にも人格があり…何かの拍子に、喧嘩っ早い乱暴者になったり、小学生の少年になったり、女性の人格になることもある。だから、“仕事”の依頼が入っても、人格がコロコロと入れ替わると、どんどん脱線していってしまい、収拾がつかなくなる。いや、本来の本人の人格がなんとかして、軌道修正はするんだけどね…まぁ、そうしなきゃ一向に物語も終わらないよな。

 

導入部は、幼い女の子が事務所を訪れ…“本当のパパを探して”という依頼をしたことで始まるんだけど、案の定、人格がコロコロと変わってしまったことで、仕事そっちのけで女の子を連れまわす結果となり、果ては誘拐犯として警察のご厄介にもなってしまう。結局、警察の介入もあり…依頼人の少女と引き離されてしまうんだけど、最初に受けた“本当のパパを探して”という依頼はちゃんと覚えていまして、なんとかこなそうと、少女の周辺事情を調べ始めると…少女の親である政治家側から暴力的も辞さない妨害工作なども受けてしまう…。

 

こりゃー何かあるぞと、躍起になって事件にクビをつっこみ…最終的に、意外な真実が浮かび上がる。クライマックス近く、少女が幽閉されている政治家の自宅(豪邸)へ潜入するくだりが、若干ダラダラとして長いかなとは思ったけど…それ以外は、なかなか着地点が見えてこず、二転三転する事実に、最後のでっかい爆弾で、更になるほどと唸らされた。奇抜ば作品だが、関係者を集め、探偵が真相を解き明かすお約束もちゃんとある。26年も前の作品だが、古さはなかった。あと、一応、“オダケン”の名前も出てきて、同じ世界観の話だということもわかった。






 

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