シャーク・ド・フランス（２０２２年）

ＷＯＷＯＷのサメ映画特集でエアチェックした「」を鑑賞…今回のラインナップで自分が録画したものに関しては、これで全部消化終了（旧作で1本録り逃したのがあるけど…忘れなかったら8月のリピート放送で録る）。タイトルで分かる通り…フランス製のサメ映画、ＷＯＷＯＷの解説によると“珍しい”とのことだが、この間、ネトフリのオリジナル映画で、「セーヌ川の水面の下に」っていう、わりと新し目の作品を見たばかり。あれはかなりの力作で見応えはあった…こちらはコメディ要素があり、DVDの発売元がアルバトロスなのもちょい不安。

観光客でにぎわうフランス南西部の田舎町ラ・ポワント…ベテランの海上憲兵隊員マジャは、近々、早期退職することになっていたのだが…真面目な性格なので、最後まで仕事をまっとうするつもりでいた。その日も、ボートで禁止区域に立ち入り、身動きが取れなくなった観光客を救助、注意。その際にサメの目撃情報が出て、マジョも上司に封鎖の進言はするも、取り合ってもらえなかった。しかし、サメに襲われ、切断された足が見つかったことで…マジョは、地元住民の反対を押し切り封鎖を決行。退職も一時的に撤回し、サメ退治に挑むことになったのだが…。

あれ、想像してたよりもまともな映画だった…DVDの発売元がアルバトロスフィルムなので、いつものパチものアサイラム映画みたいなB級、C級なのかと思っていたら、ちゃんと“映画”になっていて驚きだ。調べると、日本でも劇場公開された作品らしい。周りから引退を勧められている49歳のベテラン海上憲兵隊員のおばちゃんが主人公。ようやく引退を決意し退職まであと数日と迫っている中で事件は起きる。立ち入り禁止区域に入った外人観光客などからサメの目撃情報が出る…普段はサメの生息地域じゃないので、最初はおばちゃんも半信半疑だった。

しかし…行方不明事件が起きていて、実際にサメに食われたと思われる、人体の一部が発見されたことで、おばちゃんをはじめとする憲兵隊、警察などが色めき立つ。一方、海水浴客をあてにしている地元住民からは、いるかどうかもわからないサメのために、遊泳禁止にされたら困ると猛反発。それでもおばちゃんたちは規制を強行。やがて、おばちゃんの引退の日が来てしまうが…このままサメを仕留めずに辞められないと、一時的に引退を撤回！いつもおばちゃんを“ばばぁ”呼ばわりする黒人青年や、地味系女子の後輩を従え、サメ退治にいざ出発！

後輩の黒人青年という、それだけでなんか“フラグ”に感じるも、予想に反して、あっけなくサメを仕留めるおばちゃん。本人も満足気に、これで引退できると…翌日からは、ハゲの旦那とラブラブ隠居生活が始まる、はずだったんだけど、なんと、ビーチでまたもサメ騒動、新たな犠牲者が出てしまう。実は、サメを生きたまま保護し、本来の生息地域に戻そうと考えていたオバチャン…目覚めたサメが暴れ、捕獲してあった容器をブチ破って、逃げてしまったのだ。サメ退治で、一時は英雄扱いされていたオバチャン…一転して、“人殺し”のレッテルを貼られてしまう！

しかももう引退した身なので…公にはサメ退治に加われない。このままでは汚名だけが残ってしまう。それでもいいじゃないかと、慰めてくれる夫…しかし、諦めきれないおばちゃんは遂に行動に出る。お約束の第一犠牲者の死に方も含み…序盤はオフビート感強め。主人公も、老けたおばちゃん、しかもあまりニコリともしない不愛想だし、なんだかなぁって思ってたんだけど…ドラマ自体は意外性もあり、後半はしっかりシリアス展開。サメも怖いけど、それと同じくらいSNS社会の人間の逆恨みも怖いよという今風メッセージも盛り込み、クライマックスに向かう。

逆にもう少しサメが大暴れして、一般人が問答無用に襲われる派手な展開があってもよかった気がする…阿鼻叫喚の地獄絵図だったら、よっぽどネトフリで見たオリジナル映画の「セーヌ川の水面の下に」の方がコメディみたいな展開だったよ。でも、サメ退治が終わった後に、“しかし物語は終わらない”というモノローグと共に（物語はお前視点だったのか！っていうのも判明）、主人公の身に起きるダメ押し展開が待っていて…マジかとドヨ～ンな気分になりつつ、コメディ忘れてなかったなオチもありって感じで、チープな作品が多いサメ映画の中では合格点よ。

監督：リュドヴィック・ブケルマ　ゾラン・ブケルマ

出演：マリナ・フォイス　カド・メラッド　ジャン＝パスカル・ザディ　クリスティーヌ・ゴーティエ　リュドヴィック・トレント

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