ヒンターラント(2021年) | 勝手に映画紹介!?

ヒンターラント(2021年)

ヒンターラント [Blu-ray]

 

WOWOWでエアチェックしておいた「ヒンターラント」を鑑賞…第一次世界大戦後、ロシアの捕虜だった主人公が、すっかり変わり果ててしまった母国に帰還し、そこで元の職業・刑事に復職、連続猟奇殺人と対峙することになるというオーストリアとルクセンブルクの合作。「ヒトラーの贋札」を撮ったステファン・ルツォヴィツキーが監督ということだが…見てないかも?この監督だと、大学の解剖学教室を舞台にしたミステリー「アナトミー」はけっこう好きだった(続編もあるけど1の方がおもろい)…あとは「デッドフォール 極寒地帯」という作品を見たことがあるな。

 

第一次世界大戦が集結、長い間、ロシアの捕虜収容所に入れられていたペーター・ペルクと生き残った仲間たちは、なんとか故郷のウィーンにたどり着くも、敗戦国となったことで皇帝は国外逃亡するなど、すっかり情勢が変わり果てていた。帰る家もないと途方に暮れる仲間たちと別れ、ピーターは自宅に戻るも…そこにはいるはずの妻子の姿もなかった。やがて、殺人事件が発生し、なんと被害者はペーターの戦友であることが判明。最初は容疑をかけられるも、かつての同僚・レンナー警視のはからいで刑事に復職することになり、事件を調べ始めるが…。

 

シーンのほとんどがグリーンバック撮影なのか、合成がバレバレな感じ…作品によっては、チープさが際立って、物語に入りこめないことも少なくなく、自分はあまり好きじゃない撮影手法なんだけれども、全編を通して薄暗く、くすんだ空模様…トリックアートのようにあえて歪んだ建物など、独特の映像表現が作風にマッチ。主人公をはじめとする戦場帰りの人々の精神状況、敗戦国という国そのものの病みを視覚化しているようにも感じられ、ダークな魅力を放っている。そして事件の内容もなかなか猟奇的で…「セブン」や「フロム・ヘル」をどこか彷彿させるのよ。

 

世界初のフルデジタル撮影ってことで話題になった二十数年前のフランス映画「ヴィドック」なんかにも雰囲気が近いかなと思った…当時は苦手だったけど、今見直したら、意外と「ヴィドック」も面白いかもしれないな?また、境遇のせいで…刑事に復職しても、敵が多い主人公だけど、検死を担当する美人の女博士が協力的で、色々とサポートしてくれる。この女優さん、見たことあるなと思ったら、何年か前にBS12で見ていたドイツのドラマシリーズ「バビロン・ベルリン」で、風俗嬢と警察の仕事を二足の草鞋でこなすヒロインを演じていた女優さんだったのね。

 

「バビロン・ベルリン」も舞台になっている国こそ違うも、第一次世界大戦の敗戦国ドイツを舞台にしたサスペンス…前述の女優さんは、戦争の傷跡が残る社会で、女性というハンディをはねのけ、逞しく生きるヒロインを演じていて、印象に残っている。本作の美人博士も…男性がみんな戦場へ行ってしまったから、自分がその役職に就けたと皮肉交じりに説明したりもしていて、知的さとタフさ、クールさを兼ね備えた役どころ、こういう世界観のヒロインが実に似合う女優さんだなって改めて思った。話は重ためながら、テンポが良いので、最後までイッキ見出来るよ。

 

 

監督:ステファン・ルツォヴィツキー

出演:ムラタン・ムスル リヴ・リサ・フリース マックス・フォン・デル・グローベン マルク・リンパッハ

 

 

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