デッドフォール 極寒地帯（２０１２年）
日本未公開の作品をソフトリリース前に放送するＷＯＷＯＷのジャパンプレミア…昨日放送された「デッドフォール 極寒地帯（原題：Deadfall）
」をエアチェックしておいたのでさっそく鑑賞…タイトルだけ見ると、スタローンとカート・ラッセルが共演した脱獄刑事アクションを思い出してしまうんですけど（あの映画と区別をつけるために、極寒地帯なんてサブタイトルがつけられているのでしょう）…まったくの別物。極寒の地を舞台にした、二組の犯罪者の物語で、サスペンス、アクション、ドラマと様々な要素が詰まった、これで未公開って感じのなかなかの佳作。男女3人の乗った車が雪道を疾走していたのだが…事故に遭い転倒。仲間の一人は死んでしまったのだが、アディソンとライザの兄妹はなんとか助かった。実は、アディソンたちはカジノを襲撃して逃亡中で、カナダを目指していたのだ。たまたま通りかかった警官を射殺したアディソンは、追手を振り切るためライザと別行動をとることに。一方、八百長の片棒を担がされ、服役中だった元ボクサーのジェイは、仮出所したばかりの身で、再びトラブルを起こしてしまった。とりあえず車で実家を目指していたのだが、その途中…吹雪の中でさ迷うライザと遭遇する…。
逃亡中のカジノ強盗の兄妹に、「ミュンヘン」「ハンナ」のエリック・バナと「トロン: レガシー」「ラッシュ/プライドと友情」のオリヴィア・ワイルド…最初はどういう関係だかよくわからない。もう一人の仲間が運転する車に乗り、けっこう小奇麗な恰好してたんだけれども…実はカジノ強盗を働いたばかりで逃亡中、しかも兄妹だったと。で、吹雪の雪道で…たぶんシカか何かと動物とぶつかって、車も大破、運転手は死亡！何もない、極寒の雪の中に放り出されてしまった２人、兄貴の方はたまたま通りかかったパトカーの警官を容赦なく撃ち殺すと、なかなかのワルだ。
たぶん、妹は強盗の実行犯に加わってなかったんじゃないかな？面が割れてないから、もしもの時のために別行動しようということになり…妹にはは道に出て、車でもヒッチハイクするようにと命じ、兄貴の方は森や山の人目を避けて行動することに…。で、山をさまよい歩いていると、グッドタイミングに、スノーモービルを修理している原住民に遭遇。よし、アレを奪おうと…崖の上からダイブして相手を襲うんだけれども、まさかの反撃をくらい、ナイフで指を切り落とされる兄貴！映画はまだ序盤なのに、かなり壮絶の血みどろバトル…なんとか勝利を収める兄貴。
そしてもう一組の主人公が…仮出所したばかりの元ボクサーなんだけど、どこかで見たことあるなぁと思ったら「パシフィック・リム」の主役（ジプシー・デンジャーのパイロット！）チャーリー・ハナム。で、実家に住む両親にクリス・クリストファーソンとシシー・スペイセクが扮していて、母親の方は息子の出所を喜び、早く家に帰って来いと願ってるんだけど、いかにも堅物親父然としたクリストファーソンの方はやっぱり犯罪者の息子とソリがあわないらしく、終始ブスっとしている。オカンはそれを察知して、父ちゃんが留守の間に顔を出せとアドバイス。
そんな元ボクサーのあんちゃんだけど、懲りずに服役の原因を作った相手から金を取り立てようとして、喧嘩になり、相手をぶんなぐってしまう。咄嗟に「ヤバイ！刑務所に逆戻りだ！」と思ったこのあんちゃんは…その場から逃走。なんとか実家近くにまで帰って来てたんだけれども、警察の検問が！まさか自分を探しているのか？とビビリまくり。もちろん、その検問はカジノ強盗に関するものだったんだけど…警察をやり過ごすために、脇道に入ったところで運命の出会い、兄貴と別行動していたカジノ強盗の妹ちゃんと遭遇するわけですね…。
妹ちゃんは、ボクサーのあんちゃんにくっついていけばなんとかなるんじゃないかと甘い期待を抱く…あんちゃんの方は、最初こそ自分がお尋ね者だというのを自覚して距離を置こうとするんだけれども、途中、猛吹雪で足止めを食らってしまい、バーでお互いの身の上話なんかを語り合っているうちに…まぁ、いい関係になっちゃいまいましてというパターン。妹ちゃんがよろしくやってる間に、警察から逃げている兄貴はといいますと…原住民からスノーモビルを奪った後に、今度は離婚話がこじれた地元の夫婦に遭遇し、休息を兼ねてクビをつっこむんですね。
ＤＶ夫に襲われる嫁さん、その横にいる幼い娘を…自分の妹とダブらせまして、助けなきゃと。で、容赦なくそのＤＶ夫を撃ち殺しまして、その家族が住んでいた山小屋に居座る。何かを悟った幼い娘が心配そうに、自分も殺すのかと訊ねてくるが…逆に子供を守るんだと宣言。ダメ人間でも、幼い娘には必要な父親（といっても義父）を殺してしまった罪滅ぼしもあるからか、さりげなく盗んだ金を置いていこうとする…実は、極悪人ってわけでもないじゃんという…この兄貴の優しさが垣間見れるシーンにグッとくるのだが、その直後に警察の気配が…。
作品のいたるところで、家族の絆、そして確執みたいなのが見え隠れするんですよ。他にもケイト・マーラ扮する女保安官が物語に深くかかわって来て、その父親で、やっぱり保安官で上司でもあるトリート・ウィリアムズと…やたらと仕事のことで対立を繰り広げてるんですね。捜査に女は出しゃばるなと！実際に…この女保安官、けっこうなトラブルメーカーでして…事件を引き寄せるタチとでもいいましょうか、確かに関わると死人が出たり、事件が大きくなったり…するのよね。出しゃばるなって言われたから、控えめに行動してるんだけど、事件にあたっちゃう。
最後はお約束かもしれないけれど…出てきた関係者たちが、うまい具合に引き寄せられて一堂に会するんですね。けっこう早い段階で、そうなるように脚本で仕向けていたので、あまり不自然に感じないのも良かったですね。緊迫感あふれるなか…まるで家族のように感謝祭の料理を食す羽目になるなんて展開は、ちょっとジョニー・トーの香港映画も彷彿とさせ面白いシーン。そして最後には、過ち、決別、和解など各々の家族の関係性を象徴するような銃撃戦やアクションが展開されるのも良かったね。この内容で本編95分というまとまりの良さにも敬服。
日本語タイトルで検索してもＡｍａｚｏｎ等では見つからず…ソフトリリースの正式アナウンスはまだの模様。しかし、原題の“Deadfall”で調べると、日本のＡｍａｚｏｎでもｉｍｐｏｒｔソフトが見つかった。ただし、マケプレ業者なので注文時はご注意を！たぶん、日本語字幕なんかもないと思われます（未確認）。この内容で未公開っていうのが本当に信じられない！せめて日本でもブルーレイくらいは出してほしいですよね。8月22日にＷＯＷＯＷでリピート放送があります…加入してる人で見逃した人は絶対に見た方がいいよ、オイラ的に超お薦めの映画です。
監督：ステファン・ルツォヴィツキー
出演：エリック・バナ オリヴィア・ワイルド チャーリー・ハナム クリス・クリストファーソン シシー・スペイセク
【Blu-rayソフトの購入（輸入盤）】
Blu-ray Deadfall[Import]
