ゴッドマザー（２０２０年）
日本初登場作品をソフトリリース、または劇場公開前に放送するＷＯＷＯＷのジャパンプレミアでエアチェックしておいた「ゴッドマザー（原題：La daronne）」を鑑賞…警察でアラビア語の通訳をしているオバチャンが…麻薬組織の大麻をネコババして、一攫千金を狙うというフランスの犯罪コメディ。主演は御年70歳、4年前の作品なので…撮影時はもう少し若かったと思うけど、それでも還暦を超えていた大御所のイザベル・ユペール。ヴァーホーヴェンの「エル ELLE」では還暦過ぎて、Hなオバチャンの役を演じてたけど…さすがに本作では脱いでない。
警察の麻薬捜査班で、通訳として働いているパシャンス…麻薬組織を追いかける捜査班の指揮官フィリップとは1年前に知り合い、恋仲でもある。ある日、捜査対象の運び屋が…自分の母親が入所している老人ホームの女性介護士の息子であることに気づく。パシャンスは、介護士に警察の手が迫っている事実を話してしまい…結果的に、運び屋が逮捕された時には、大量の大麻が隠された後あった。パシャンスは、警察や麻薬組織よりも先に大麻を見つけだし、自分で売りさばこうと思いつく。実は老人ホームの支払いのため、大金が必要だったのだ！
ちょっと見落としてたけど…ＷＯＷＯＷの説明によると、“フランス映画祭2020 横浜”で上映されてるらしい、じゃあ、初登場じゃねーじゃん！と、一応ツッコミを入れておこう。正式にはまだ劇場公開もされてないし、日本盤のソフトもリリースされていない模様。主人公のオバチャン、ガサ入れにも同行してたので…最初はてっきり女刑事なのかと思った、妙に堂々としてるし。その後、通訳だったことが判明…さらには、捜査の指揮をしているハゲの刑事とは恋人関係にあるらしい。旦那とは既に死別しており、娘が2人…あとは老人ホームにボケた母親が入所中。
ある日…仕事で、大麻の運び屋が電話をしているのを盗聴していると、その相手が、老人ホームで自分の母親の世話をしてくれている女性スタッフであることに気づく。その女性スタッフは運び屋の母親だったのだ。もちろん会話はアラビア語なので、他の刑事たちには内容まではバレていない。オバチャンは直ぐにその女性スタッフに接触…警察が盗聴している事実を伝える。建前では、入所中の母親が世話になっているからと、親切心を前面に出すも…他にも魂胆があった！なんと、大麻をネコババし、自分で売りさばいて、分け前を得ようとしていたのだ…。
実は、入所費の滞納などもあり、ボケた母親が老人ホームを追い出されそうになっていたのだ！結局、オバチャンが…運び屋の母親に情報を流したせいで、捜査は大混乱。運び屋や取引相手は逮捕されるんだけれども…肝心の大麻がどこかへ消えてしまった！運び屋が捕まる前に、どこかに隠したのだ。一方、取引相手の悪党連中は直ぐに釈放される見込みで、消えた大麻の行方を追おうとしている。その前に、オバチャンはなんとか大麻の隠し場所を探し出そうと…用済みで殺処分待ちだった元警察犬を引き取ってきて、単独で大麻探しを始める…。
まぁ、カレシが捜査の指揮官なので、情報も全部筒抜けなのね…結果、警察や悪党の先を越して大麻をGET！あとは…やっぱり今までの盗聴、捜査資料などから当て込んでいた地元の売人と接触をはかり、大物麻薬ディーラーに成りすまして、ネコババした大麻を換金しようとするわけだが…大麻奪還を目論む悪党に見つかり、警察からも目を付けられ…さぁ、どうなるという展開。刑事が恋人、自身も警察で働いているという…一見、堅気に見える主人公だが、死んだ旦那は詐欺師、父親もまっとうな職業じゃなかったと匂わせており、最初から素地はあった。
恋人である“間抜けな刑事”から捜査情報を聞き出す、女の犯罪者って…なんか、ちょっと「キャッツ・アイ」みたいだな。って、キャッツと比べるには、主人公は薹が立ちすぎてるけどな。細かい取引を何度も重ねて、着実に大麻を捌いていく場面なども、それほど緊張感がなく、正直、ご都合主義な部分は否めない。犯罪に加担、死人が出て、恋人まで裏切ってるにしては…主人公にほとんど罪悪感がなさそうなところも気になるっちゃ気になるのだが、イザベル・ユペールの年齢を感じさせない、チャーミングな魅力で押し切られ、あくまでコメディだからと許せる。
監督：ジャン=ポール・サロメ
出演：イザベル・ユペール イポリット・ジラルド ヤン・サンベール リリアン・ロヴェール ジェイド・ナジャ・グエン
【Amazonで見つけた輸入盤DVDです！】
DVD La Daronne ※輸入盤、日本語なし、リージョン不明
