山猫は眠らない９ ローグ・ミッション（２０２２年）
ＷＯＷＯＷで“山猫は眠らない”シリーズの一挙放送…現在9作目まで発表されており、オイラは最新作のみ未鑑賞だったが、ひとつ前の「山猫は眠らない8 暗殺者の終幕」は、なかなかＷＯＷＯＷで放送がなかったので、しびれを切らして、ちょうど1年前にたまたまその時に加入していたネットフリックスで鑑賞した。ちなみに、今回の一挙放送でようやくＷＯＷＯＷで“8”も初放送…過去の“7”までの一挙放送でも全作エアチェックをおこなったが、今回も念のため放送画質で全作を録画しなおす。しかし、鑑賞は「山猫は眠らない9 ローグ・ミッション」のみ行った。
元スナイパーのブランドン・ベケットはCIAのエージェントになっていた…ブランドンは過去の捜査で協力した国土安全保障省の捜査官ゼロと協力し、若い女性を性奴隷にする人身売買組織を追いかけており、ローラ・レイクという人物が黒幕であることを突き止めたのだが、悪徳捜査官クサマノがローラの死を偽装し、取り逃がしてしまう。それどころかローラの手下たちが、証人となる女性たちを殺し、証拠隠滅を図る。しかし、組織からうまく逃げ伸びたメアリーの存在が発覚！ゼロたちは彼女を保護するため、殺し屋レディ・ゼロに協力を打診することにするが…。
一応、前作“8”を踏襲した設定、登場人物で新たなストーリーが描かれていた…前作で初登場した元AKBの日本人女優・秋元才加演じる女殺し屋も再登場しているのだが、シリーズ初期の主人公であり、最近の作品でも新主人公の父親として度々、作品に華を添えていたトム・ベレンジャー、トーマス・ベケットは残念ながら不在。それどころか…“一発必中”に拘った本シリーズ特有の緊張感はどこへ行ってしまったのか…近作も正直、蛇足感強めの作品が多かったのも事実だけど、本作では作風までガラリと変わり、まるっきりコメディになってしまったのね。
トリオ漫才のようにあえてコミカルに描くキャラ同士のやり取り、場違いに陽気なBGM、主人公チームと対を成すようにして描かれる敵チームの詳細な日常など…どれもこれも緊張感に欠けるものが多く、編集やカメラワークまでやたらと安っぽくなってしまった。おかげで、肝心なスナイパー対決なども、まったく迫力を感じない…ちゃんとシリアスに撮っていれば、お互いに階が違うだけの“同じ狙撃地点”だったなんていうアイデアも、もう少し映像的にも、物語的にも見せ場になったと思うのだが…ほとんどギャグ。人間の死の描き方がやたら軽いのもマイナス。
冒頭、性奴隷として働かされているおねーちゃんたちが、悪党に殺されるところ、なんかもね…やってること酷いのに、イマイチ、その残虐性が伝わってこないんだよな。ホント、これ…シリーズ初期のように、シリアスなトーンで描いていれば、社会派な面もあったり、最後のどんでん返しなんかもうまくハマったと思うんだけど、作風のせいですべて台無しにしちゃってる感じなんだよな。なんかね、前作の脚本家が…脚本のほかに、監督と音楽も担当したって話なんだけど、思いっきり、人気シリーズを私物化して、クソ映画を作っちゃったって感じなんだよな…。
でもって、調子に乗って…さらなる続編を目論んでる感あるラストだったじゃん？もう、いいかげん…シリーズを終わらせた方がいいんじゃないか？っていうか、“Sniper（原題）”シリーズを続けるのはどうぞご勝手にって感じだけど…日本の配給会社は“山猫は眠らない”って邦題をつけるのをやめてほしい。これ、1作目の時にこの邦題を考え付いた当時の配給会社の人に失礼だよなって思うもん。もうさ、もし次に続編があるならちょうどキリの良い10作目じゃん…それこそ、トム・ベレンジャーに主人公へ復帰してもらって、一発必中の終止符を打つ（撃つ）べきだよ。
前作はちゃんと日本でも劇場公開して、セル版のブルーレイもリリースされていたんだけど…今回はどうやら配信スルーだったようですね（既にアマプラだと会員無料対象になってますし）、セル版の円盤はDVDすらリリースされていない模様。レンタルのみGEO先行でDVDがリリースされていたみたい。SPE（ソフトメーカー）の扱い方でも作品の出来が判断できるな（苦笑）まぁ、円盤化されていないので…ＷＯＷＯＷでの放送はありがたや～です。一応、シリーズを全作コンプできたのは良かった…ってか、8作目の放送、ちょっと遅すぎじゃないＷＯＷＯＷさん。
監督：オリヴァー・トンプソン
出演：チャド・マイケル・コリンズ ライアン・ロビンズ 秋元才加 ジョシュ・ブレナー デニス・ヘイスバート
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