アーカイヴ(2020年) | 勝手に映画紹介!?

アーカイヴ(2020年)

アーカイヴ(字幕版)


WOWOWの“SF特集:託された命運(運命に翻弄される人間たちを描いたSF特集)”でエアチェックしておいた「アーカイヴ」を鑑賞…死んだ妻の記憶を、特殊な技術を用いて、アンドロイドに移植しようと苦悩する科学者の姿を描いた英国製のSF映画…ありがちっちゃ、ありがちで、ザっと見た感じだとネットの評判もイマイチな感じだったけど、オイラは意外と嫌いじゃない。日本でも劇場公開はされてるんだけど、セル版の円盤はDVDすらリリースされてない、最近増えてるデジタル(配信)スルーってヤツ。録画でもBD-RでコレクションできるWOWOWに感謝!

 

日本の“ヤマナシ”の山奥にある、とある企業の秘密ラボ…そこに1人で暮らし、アンドロイドの開発を続けている科学者のジョージ・アルモア。実は、契約している企業に隠れて、アンドロイドに事故で死んだ愛妻ジュールの記憶を、“アーカイヴ”という個人の記憶や人格を一定期間保存できる特殊な技術を用いて、移植しようとしていたのだ。違法にダウンロードしたデータで、既にJ1、J2という試作品を作り上げていたアルモア。さらに発展を遂げたJ3の完成も目前に迫っていたのだが、何者かの妨害が発覚!さらには…企業側に事実が露見してしまい…。

 

けっこういいところどりな感じかな?愛する人を、ロボットやアンドロイドの技術を用いて蘇らそうとするなんていうのは…それこそ、生き返らす対象は息子だったけど、「鉄腕アトム」だって似たようなものだ。今、テレビで絶賛放送中の「Vivy -Fluorite Eye's Song-」でも、ちょっと前のエピソードでやってたぞ…「Vivy」では嫁さんが最初からAIというさらにトリッキーな話だったけどな(笑)まぁ、なんとしても死んだ嫁に会いたい、その人と人生をやり直したいなんて発想自体、“エヴァ”の碇ゲンドウとも一緒なんだけど(爆)根幹のテーマ自体はお約束中のお約束だ。

 

なぜか主人公が暮らしている研究施設が“ヤマナシ”にあったり…小道具だったり、劇中で流れるアナウンスなどに日本語が頻繁に使われていたりと、やたらと日本を感じさせられるのも、ジャパニメーションやマンガといったものへのリスペクトやオマージュがあるのではないかと考えてしまう。和洋折衷近未来で、辛気臭いドラマが展開されるという作風に関しては、やっぱり「ブレードランナー」の影響だろうな。この作品特有の設定が、故人の記憶や人格を一定期間保存できるという技術、サービスで…そのまんまな名称の“アーカイヴ”がタイトルになっている。

 

山奥の秘密ラボで…主人公の科学者は、将来的に嫁さんの人格と記憶をコピーするための…“器”をひっそりと開発している。試作品の1号機と2号機…武器でも持たせれば、そのままロボットアニメのやられメカになりそうな、やたら武骨なフォルム。決してかっこいいわけじゃないんだけど…メカメカしくて、嫌いになれない。1号機は能力も赤ん坊並だったんだけど、2号機はもうちょっと進化して、ちょうど人間だと中高生くらいの思考を持ってて、主人公はコミにケーションをとりながら、生活サポートの一環として、その2号機を酷使しているというのが現状だ…。

 

そして、主人公はさらに研究を進め…3号機の開発に取り掛かってるんだけど、2号機から3号機への進化が半端ねぇのよ。2号機までは、明らかに“作業用ロボット”だったんだけど…3号機はかなり人型の完成形に近づいている。どこをどうしたらそうなった?まぁ、見た目は“理科室に置いてある人体解剖模型”みたいで、まだ足もついてない(まさか“あんなの飾りです”なガンダム、ジオングオマージュじゃないだろうな?)未完成なんだけど…知能の方もかなり高い。そして、ほぼ用済みとなった2号機は、嫉妬を覚えて、3号機の開発を妨害しようとする…。

 

このあたりは、この間見た、スマホのサポートAIが人格を持っちゃうというコメディ「ジェクシー!スマホを変えただけなのに」あたりも思い出した。まぁ、本作の方は、最初の方で書いた通り、もっと辛気臭い展開なので…AIが、違う次元の嫌な女なんですよ。なんていうか…捨てられて、自殺をほのめかすようなイタさとでもいいましょうか…実際に劇中で、入水自殺を図るんだよ、見た目が作業用ロボットでも、心が乙女のAIが(笑)まぁね、とうとう完成した3号機が2号機のスペックをはるかに上回ってるんだもん…そりゃー、勝てないって、AIだって絶望するよ(笑)

 

3号機用に、ちゃんと“人型アンドロイド”としてボディを生成するシーンが出てくるんだけど…ハリウッドの“攻殻実写版”「ゴースト・イン・ザ・シェル」以上に、「攻殻機動隊」「イノセンス」っぽくて笑ってしまう。いやいや、主人公はさらに貪欲で、2号機が嫉妬した3号機でさえ、まだまだ通過点でしかないのよ!SFとしては面白いけど、正直…主人公にはまったく共感できない。感覚としては、新しいカノジョと付き合ってるのに、前にフラれたカノジョの幻影を追いかけてるみたいで…男として解らないでもないんだけど、ここまでくると、キモイんだよ、って方が勝っちゃう。

 

正直…“キモオタの妄想”みたいな話なんだけど、まさか、最後にどんでん返し級の“真相”が明かされることで、“キモオタの妄想”じゃねーかというオイラが抱いた感想が肯定されてしまうとは(爆)途中で、開発の妨害とか入ったりするんですよ。それこそあそこでね、旧劇版エヴァのネルフ本部襲撃みたいに、軍の一個師団を投入した銃撃戦でも描かれていたら、さぞかし盛り上がっただろうと思うのだが…そんな派手アクション展開にはならない。地味なんだけど、細かい設定や世界観でSFらしさが感じられ…変な日本描写もSFだから許される、そういう作品。

 

 

監督:ギャヴィン・ロザリー

出演:テオ・ジェームズ ステイシー・マーティン ローナ・ミトラ トビー・ジョーンズ リチャード・グローヴァー

 

 

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