赤い玉、感想高橋伴明監督、奥田瑛二主演。ちゃんとエロい映画。赤い玉出ちゃうオジサンの妄想入子物語 | 映画時光 eigajikou

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世界の色々な国の映画を観るのがライフワーク。
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浜松シネマイーラの会報にイラスト&コラム連載中。
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『赤い玉、』

2015年製作 
日本映画
横浜シネマジャック&ベティで鑑賞







↑奥田瑛二氏制作のポスター


↓『赤い玉、』予告動画


監督・脚本:高橋伴明

編集:鈴木歓
製作:大日方教史
高橋惠子
小林良二
塩月隆史
撮影:小川真司
美術:木村彩愛
音楽:安川午朗

出演:奥田瑛二
不二子
村上由規乃
花岡翔太
土居志央梨
山田奈保
上川周作
福田あさひ
水上竜士
柄本佑
高橋惠子
吉井優
林諒一

大学で学生に映画を教えながら、
自らの新作発表の機会をうかがう
映画監督の時田修次。
理解あるパートナーの唯に見守られながら
彼は本腰を入れて脚本にとりかかる。
しかし、ある日、道すがらみかけた高校生の律子に
魅入られた彼は次第に彼女に心を狂わせていく。
(ぴあ映画生活より)

主人公の時田は京都の大学で
映画撮影を教えている。
妻百合子(高橋恵子)とは別れ
大学の事務員の唯(不二子)のマンションに
居候している。
新作映画は撮れていない。
東京の映画会社の
若い青山プロデューサー(柄本佑)に
会っても適当にあしらわれている。
本格的に台本執筆に取り掛かる。

恵文社一乗寺店。2012年8月に行った時撮影


ある日恵文社一乗寺店←クリックでけいぶんしゃHP
(素敵な本屋さんです!)
で、武田泰淳の『富士』を買う、
色気のある女子高生律子(村上由規乃)に一目惚れし、
彼女をストーカーのようにこっそりつけまわす。
指導しているゼミの学生たちの制作映画は、
監督矢島(花岡翔太)が
ひとりよがりな行動を取るため、
主演で女優根性のある彼女の愛子(土居志央梨)に
フラれるわ、仲間が付いて来ないわ、
作品の出来も散々だけど、
編集で映画は生まれ変わると時田は指導する。
そして時田の脚本執筆は進むのだが...


この映画では時田が書く脚本が
入れ子構造になっています。
物語に入ってくる
脚本に書かれるシークエンスは、
それが現実なのか
時田の想像(妄想)の産物なのか分かりません。
(メタフィクションの手法を使用)
そもそも時田の口癖は「映画監督は嘘つきだ。」です。

時田の大学で映画を教えている映画監督という立場は、
京都造形芸術大学の教授で
映画学科長として映画を教えている
高橋伴明監督自身と被ります。
そして同じ団塊の世代で映画監督でもある
奥田瑛二にアテ書きしています。
また高橋伴明監督の師匠にあたる
若松孝二監督へのオマージュも感じます。

題名の『赤い玉、』は、
男性が性的に打ち止めになる時に
出るという伝説から。
監督が好きだったという
川端康成の「みずうみ」
(美しい少女を見ると、
憑かれたように後をつけてしまう
ストーカー男が主人公)
の要素も入れて魔性の女子高生も登場。

監督は、
60代になり人生の終りも、
男としての性的な終りも見えてきた
衰えと、そこでもがいているみっともなさを
団塊の世代の男たちと共感し合いたいという
思いがあったそうです。

自虐的で、
こっけいで、
ユーモアがあって
笑えるところもありました。

そしてR18指定ですから、
しっかりエロいですよ。
女優さんたちが
ちゃんと脱いで体張った
濡れ場してるっていうだけでなく、
着ててもエロい男性目線のエロさの演出は、
私は笑えちゃったけど、
男性には目の保養になるかと思いますよ。

老境に入りつつある男性の
性に対する執着を赤裸々に見せられて正直、
「大変そうだな~」(´∀`)←他人事。
でも、面白かったですよ。
高橋伴明監督は『愛の新世界』←クリックで私の記事です。
以来20年ぶりのエロスに挑んだ作品。て、
あ~、もう20年も経ってしまったの!?感ですが、
伴明監督は枯れていないし、
奥田瑛二の時田はみっともないことしてるけど、
格好悪くはないのです。
90年代前半に
『ありふれた愛に関する調査』(1992)榎戸耕史監督
『極道記者』 (1993)望月六郎監督
『棒の哀しみ』 (1994)神代辰巳監督
などを公開当時劇場鑑賞していますが、
このような映画のキャラクターの
奥田瑛二が、20年経って
未だに不良オジサンでもがいてる感じ。
特に『棒の哀しみ』が強く想起されました。

現在の日本映画の企画の
ビジネスライクな実態を見せてくれたり、
今まで映画人としてやってきたプライドと
プロテストも
滲み出ていました。

私は、
高橋伴明監督の作品は
いつもは期待して観るのだけど、
今回はオジサンが赤い玉出るまで
女子高生に狂ってしまう話かしらん?
と、期待しないで観たのですが、
手法も凝っていて、
そんな単純な内容ではありませんでした。
ごめんなさい。


昨日はレディースデーだったのに
この映画を観ていたのは9割方男性。
しかも団塊の世代らしき方が多かったですよ。
監督の狙いは当たったのでは!?
観客を選ぶタイプの作品かとは思いますが、
団塊の世代に限らず、
枯れちゃあいないぜって男性におススメかと。
伴明監督ファンは勿論ですが、
70年代の日本映画が好きな人、
オジサンの生態観察として女性にも(笑)

(個人的には学生時代に京都にいたので、
京都が舞台の映画は
懐かしい風景が見られて嬉しいです。)


村上由規乃さんは、
京都芸術大学映画学科俳優コースの学生で
オーディションで律子役に選ばれました。
色気ありますよ。


女優根性のある愛子役土居志央梨さんは
同じく在学中にオーディションで選ばれました。




大人のエロさの不二子さん。
といっても35歳で若いですけど(笑)


学生監督の矢島役花岡翔太さんは、
いかにも草食系な若者を演じています。


奥田瑛二が劇中「女優は男だから」
と言いますが、
伴明監督がシネマイーラに来られた時も同じこと言ってみえた。
プロデューサーも務めた妻の高橋恵子さん。


伴明監督、高橋恵子さんの
結婚のきっかけになった
『TATTOO<刺青>あり』(1982年)
また観たいデス。
TATTOO「刺青」あり [DVD]/
宇崎竜童,関根恵子,渡辺美佐子


パンフレットの高橋伴明監督と奥田瑛二の
対談では、
女性の優秀さを2人が語っていますよ。
分かっているから素敵な女性を
パートナーにできるんでしょうね。
夫婦お互い苦労もあるでしょうけど。


こちらは義理の親子対決。
奥田瑛二娘の安藤サクラ夫柄本佑は
出番少ないけど怖い役です。







「赤い玉」出るまで頑張りたいですか?



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シネマジャック&ベティで12日(土)に
初日舞台挨拶があり、
サイン入りポスターと
写真が掲示されていました。





↑これはシネマイーラ2010年9月号の会報の
私の「新★映画時光」の記事。
8月に『BOX 袴田事件 命とは』で高橋伴明監督、
『鉄男 THE BULLET MAN』塚本晋也監督
『キャタピラー』若松孝二監督と大西信満さん
が、舞台挨拶にみえて豪華な月でした。


今週は新作は
『くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ』
『黒衣の刺客』
『ふたつの名前を持つ少年』
『赤い玉、』
観て、
旧作はアルクセイ・ゲルマン特集を観ています。


今日は珍しく試写会が当たりました。










ジョン&ヨーコ&ネコ(^・ェ・^)