さよなら渓谷 感想/映画の余白に観る者の人生が映り込む 真木よう子、大西信満、井浦新、大森南朋 | 映画時光 eigajikou

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世界の色々な国の映画を観るのがライフワーク。
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浜松シネマイーラの会報にイラスト&コラム連載中。
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『さよなら渓谷』
浜松シネマイーラで鑑賞

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モスクワ国際映画祭で大森立嗣(たつし)監督、
コンペティション部門で審査員特別賞を受賞

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↓予告動画はこちら



監督・脚本:大森立嗣

原作:吉田修一

撮影:大塚亮

出演:真木よう子
   大西信満
   鈴木杏
   井浦新
   新井浩文
   木下ほうか
   三浦誠己
   薬袋いづみ
   池内万作
   木野花
   鶴田真由
   大森南朋


真木よう子が「ベロニカは死ぬことにした」以来7年ぶりに単独主演を飾り、
吉田修一の同名小説を映画化した人間ドラマ。
緑豊かな渓谷で幼児殺害事件が起こり、
容疑者として実母の立花里美が逮捕される。
しかし、里美の隣家に住まう尾崎俊介の内縁の妻かなこが、
俊介と里美が不倫関係にあったことを証言。
現場で取材を続けていた週刊誌記者の渡辺は、
俊介とかなこの間に15年前に起こったある事件が影を落としていることを知り、
2人の隠された秘密に迫っていく。
俊介役は「赤目四十八瀧心中未遂」「キャタピラー」の大西信満。
「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」「まほろ駅前多田便利軒」
の大森立嗣監督がメガホンをとり、
監督の実弟・大森南朋も週刊誌記者・渡辺役で出演。
(映画.comより)

人間描写にリアリティがありグッときた(°∀°)b

この映画は説明が少ない映画です。
そこを「分からない」「説明不足」と考えてしまうと、
つまらない映画になってしまうかと思います。

キャストの演技を見ているだけでも、
雰囲気に浸れる映画だとは思います。

さらに、説明のない余白の部分の観方で、
随分と味わいが変わって来るかと思います。

ここから役名でなく俳優の名前で書かせてもらいますね。
それから、ネタバレ的なことも書きますので、
これからご覧になる方はご注意ください。


真木よう子と大西信満
真木よう子と井浦新
大森南朋と鶴田真由
私はこのそれぞれのカップルの関係性に、
強くリアリティーを感じました。
トホホな人生もこういうとき役に立つなァ、(笑)
長生きしたかいあったかも(°∀°)b

大森南朋が夜遅く帰ってきて台所で夫婦げんかするシーンなんて、
超リアルでゾクゾクしました(゚_゚i)
この二人が最後に簡単に仲直りしてハッピーエンドなのが戴けない。
といった意見も見受けましたが、
あれ、決して単純なハッピーエンドには思えませんでした。
夫婦関係って色々なものを呑みこんでいく...
はたから見てるだけじゃわからない、
理屈じゃ説明できない感情もある。
そんな不可思議さが読み取れるシーンで興味深かった。
まあ、体験的に勝手に深読みしてるだけかもしれませんが(笑)

真木よう子と大西信満の結びつき、
それぞれの心理についても親近感を覚えましたなァ
罪悪感や嫌悪、贖罪や復讐を越えた
恩讐の彼方にある情感に思いを馳せました。
あるいはもっと動物的、生理的な情動にも。

嫉妬や疑念に心を乱され常軌を逸した行動を取って、
精神が壊れていき、DVという暴力にまで進んでしまう、
井浦新の人間性にも単なる粗暴なDV夫ではない説得力がありました。
妻の財布の中のレシートを1枚1枚執拗にチェックしている
新の演技は素晴らしかったです合格

真木よう子の熱演、
大西信満の堅実な演技、
大森監督が岸部一徳さんのような演出をしたという監督の実弟大森南朋↓
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1日の撮影だけで夫婦の歴史を感じさせた鶴田真由
の演技も見応えありました。
鈴木杏、新井浩文や他のキャストも
私的にはどんぴしゃで良かったです。

傑作、名作といった呼び方は合わないでしょうけど、
心の底に澱のように残って考えさせられる作品でした。
普通のラブロマンスものには殆ど興味がありませんが、
この映画は思い返したくなる作品です。

それにしても大西信満さんの代表作は、へヴィーだ。
『赤目四十八瀧心中未遂』
赤目四十八瀧心中未遂 [DVD]/大西滝次郎,寺島しのぶ,新井浩文

大西滝次郎は大西さんの当時の芸名。

『キャタピラー』
キャタピラー [DVD]/
寺島しのぶ,大西信満,吉澤健


そしてこの『さよなら渓谷』。
顔は現代的な彼ですが、
昭和の雰囲気の演技ができる貴重な存在。
井浦新とは『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』
からの若松組の同志です。
若松監督は彼の事を信頼して、
若い俳優たちの面倒を見るように頼んでいたそうです。
シネマイーラにも『キャタピラー』上映時に
若松監督と舞台挨拶に来てくれました。↓

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「日本映画プロフェッショナル大賞」で、
『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』『かぞくのくに』で主演男優賞を
受賞した井浦新と花束贈呈に駆けつけた大西信満さん。
井浦新が首に巻いているのは若松孝二監督の遺品のマフラー

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椎名林檎作詞・作曲 歌・真木よう子 
エンディングテーマ曲「幸先坂」


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