『私が生きる肌』アントニオ・バンデラス主演ペドロ・アルモドバル監督に『へルタースケルター』も完敗 | 映画時光 eigajikou

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『私が、生きる肌』 は シネマ・イーラで8月24日まで
上映時間 14:20~16:20


サイコー ホントに面白かったです。
これを観たら『へルタースケルター』なんてフツーですネ。お子様ランチです。
『私が、生きる肌』は、とっても贅沢な味わいの作品です。
インモラルさ、アート感、極上です。アルモドバル監督の新たな傑作誕生デス

アルモドバル監督の80年代の作品にあったパワー全開のインモラルは、
その後アカデミー賞まで受賞したドラマティックで重厚な語り口の作品を経て、
ついにここまできました


『オール・アバウト・マイ・マザー』(1999)はもちろん大好き。
『ボルベール』(2006)も『抱擁のかけら』(2009)も良かったですが、
2000年代になってからの作品で手放しで大好きなのは『バッド・エデュケーション』
(この作品でのガエル・ガルシア・ベルナルは絶品です
90年代では『キカ』『ハイヒール』『アタメ』。

でもずっと、80年代の『バチ当たり修道院の最期』や『マタドール』
『神経衰弱ぎりぎりの女たち』みたいな、ぶっ飛んだ作品が懐かしかった。
アルモドバル作品を見続けてきて、またこんなパワフルな傑作にありつけて
ホントに嬉しいデス。

アントニオ・バンデラスは、90年代にハリウッドに行ってからは、
マッチョ系アクションスター的な売り方だったので、
スペイン時代アルモドバル監督作品でゲイの青年や、めがねかけた神経質なキャラなど
やっていたことなど知らない方もいるでしょう。とても良かったんですョ。
マッチョ系のセクシーさも良いのですが、アクションモノでは、
彼の俳優としての力量の一面しか出せないので、それだけではもったいない。
今回『アタメ』以来21年ぶりのアルモドバル監督作品...っていつの間に20年もたっちゃたの
 
で、大人のシブイ男になっての登場。天才的な形成外科医、しかもインモラルな復讐に手を染めながら、
結局は悲しい運命の人を、重厚かつ繊細に演じていてスバラシイ

あ、しっかり、セクシーなお体もオガメマスデスヨ

何してるかチョー気になるでしょ

 

美しすぎるヒロインべラ(エレナ・アナヤ)のスゴイ秘密とは


共演者のエレナ・アヤナ(『アラトリステ』←ヴィゴ )、マリサ・パレデス(『オール・アバウト・マイ・マザー』)、スシ・サンチェス(『悲しみのミルク』)
ジャン・コルネット(本作でゴヤ賞新人俳優賞受賞)
ロベルト・アラモ、ブランカ・スアレス
など、みな難しい役を見応えある演技で固めていてスバラシイ


壊れたヴィン・ディーゼルみたいな野獣人セカ役ロベルト・アラモとイケテルメイドのマリサ・パレデス

二人の眉間のしわは、重要シーンのためですョ

アタメでは監禁青年、今回は監禁おじさんなバンデラスさん。かなりヤバイ人だけどやっぱカッコイイよ

アルモドバル監督作品はアート面もいつも舌を巻く完璧さ
ですが、
今回も音楽は常連のアルベルト・イグレシアスが聴かせます
彼はイーラで只今上映中!『裏切りのサーカス』で今年のアカデミー賞作曲賞ノミネート。パーティーシーンでのライブも素敵

美術もカメラもスバラシイ

衣装はジャン・ポール・ゴルチエだし、エンドロールに流れるサポート一流ブランドには驚きますョ いかにアルモドバル監督作品のセンスが信頼されてるかが解ります。
キーポイントになる美術作品にティツィアーノの絵画や、ルイーズ・ブルジョアの作品群。
閉じ込められたべラがメイク用品で壁に書く毎日の記録もすごいグラフィティアートになっている。
パンフには、アートの丁寧な解説もあるし、
監督のインタビューや製作ノートなど興味深く、このパンフは内容がとても濃いので
是非買って読んでみてください。

アルモドバル監督の作品は、パワフルでぶっ飛んだ話の中に、人間のインモラルな精神性と、
親子や男と女の普遍的な情感が両立して現れるという神業的なカタルシスが
たまらんのです。そしてこの『私が、生きる肌』は、さらにミステリーの要素が強く、
とんでもなく刺激的

ストーリーについてはネタバレ厳禁なので、上のチラシをご覧ください。
なにも予備知識入れずに観るのも超刺激的でおススメです。
と、ここまで書いてきて、ナンですが...


ちょっとほめすぎじゃない!?と思われるかもですが、
今のところ、今年のマイベスト3に入る勢いです。

パーティーのシーンの中で、これこそ真のイケメンパラダイス

なカットがあって、やっぱりアルモドバル監督の仕事は信用できるなー

と思った次第です。

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