埋もれた秀作 竜虎一代。バカ映画 ゾロ目の三兄弟。残酷な幕切れが秀逸な七つの弾丸。 | 東映映画と殺人事件を追いかけるブロガー

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やくざ映画全般、時代劇、馬鹿映画、空手映画が大好き。写真は竜虎一代より鶴田浩二と佐久間良子

好いた惚れたと獣ごっこがまかりとうる世の中でございます。

好いた惚れたは元々心が決めるもの。ま、こんなことを申し上げる私もやっぱり古い人間でござんしょうかね by鶴田浩二。

 

ユーチューブ放置、ツイッター放置、ブログ放置。SNSはゆるゆるな高血圧痛風ステテコ親父です。3か月ぶり更新させていただきます。

 

本日の東映映画

 

           竜虎一代1964年小林恒夫監督

 

とても珍しい任侠映画

 

任侠映画が軌道に乗る前に製作されたため、任侠映画のお約束がない極めて稀な作品です。出来の方もしっかりしていて埋もれた秀作といっていいでしょう。奇をてらわず一つ一つのシーンが丁寧でロケーションを巧みに使った引いた画面作りが素晴らしいです。最初の5分程でこれはいいなと思わせるそのセンス、小林監督が順調に映画を撮れていたならば数多くの傑作ができたのにと思いました。因みに大学の同級生であった脚本家の猪俣勝人はその著書『日本映画作家全史 下巻』の中で『今日、東映のアクションものといえば、“仁義なき戦い”の系列か、いっとき前の高倉健の任侠ものがすぐ浮かぶが、その源流をなしたのはこの人のリアリズム・アクション路線の作品群ではなかったろうか。もしもこの人が東宝か松竹にでもいたら、日本映画第一級の監督になっていたのではないだろうか。たまたま、東映の前身、東横映画に身を置いたばかりに、ついに中途半端なアクション監督の座に縛りつけられてしまったような気がする…(略)』とその手腕を惜しみ、今後の活動(1970年代後期当時)に期待を寄せ、賛辞と鼓舞を込めてしたためていました。

 

 

 

         ゾロ目の三兄弟1972年山下耕作監督

 

田中邦衛劇場

 

こちらは任侠映画末期、1972年。行き詰った任侠映画の果てに新しい試みとして製作されましたが、まむしの兄弟シリーズの延長戦の映画に終わっています。しかしながら、面白くないか?といえばそうでなく、まむしシリーズ以上にユニークなものになっています。田中邦衛が田中邦衛以上に田中邦衛チックしています。役柄が吃音ゆえか全編ほぼ暴走しているので飽きるわけがありません。ダイナマイトどんどん、狂犬三兄弟、県警対組織暴力、それらを足して×5倍くらい無茶苦茶しています。元気のない時にお勧めの一本です。ごった煮感が森崎東映画のようです。ストーリーも、すこぶる単純で小学生でも理解できるようになっているのが山下耕作監督の成熟したところでしょう。

 

 

 

        七つの弾丸1959年村山新治監督

 

        残酷な幕切れが秀逸

 

こういったらなんですが自身は村山監督の代表作 警視庁物語シリーズがあまり好きではありません。あまりにもドライ過ぎてサービス精神が弱いのが合わないのかもしれません。その村山監督が最も脂がのっていた1959年にセミドキュメンタリー方式で撮ったのが本作品です。田舎から都会にやってきた青年が銀行強盗をはかり、それで命を落とすことになった警察官、タクシー運転手、銀行員それぞれの事件前までを平行して描いています。犯人の描写を含めると4つの進行となります。3人のパートに割と時間をさいており、どうしても散漫になりがちですが90分の制約の中、あまりダルくかんじられないのはシナリオの橋本忍の上手さでしょう。本作品の一番のポイントはラストシーンの残酷さでしょう。ここでは詳しく記述しませんが、このラストカットにより生涯忘れらない映画となっています。こころを入れ替え都会で働くようになった伊藤雄之助のタクシー運転手が家族を乗せ、それに照れながら乗る奥さん役の菅井きんの一瞬の表情は実に素晴らしいです。

彼女の代表作の一本だと思います。本作品は当初のシナリオでは銀行強盗をして捕まるシーンからはじまる画期的なものでしたが、実際は紆余曲折を経て最後に捕まる展開に変更されています。実に生真面目に作られていて遊びの部分がない映画故、シナリオどうり作っていたならばと思わずにはいられません。

 

 

おまけ

万引き家族・・・まあまあ良かったです。

モリーズゲーム・・・すごくつまらない映画でした。

孤狼の血・・・想像以上のいい出来でした。大好き。

ホースソルジャー・・・アクション映画としてまあまあ。

タクシー運転手・・・ソンガンホを見ただけで満足

 

 

おわり