ラ・ラ・ランドよりいいグレイテストショーマン、東映映画やくざ対Gメン囮おとり | 東映映画と殺人事件を追いかけるブロガー

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やくざ映画全般、時代劇、馬鹿映画、空手映画が大好き。写真は竜虎一代より鶴田浩二と佐久間良子

さんこんばんわ

最近ブラックパンサーを見てこれの何処が面白いのか?バーフバリ王の凱旋の足元にも及んでないだろっと憤りを隠せない、傷だらけの人生をお経のように日々唱える飽きるのがやたらと早い高血圧痛風ステテコ親父です(長い挨拶だなあ)

 

今回はスリービルボード15時17分パリ行きという世間の好評さに疑問をもった辛口な私が、大好きになった映画を紹介したいと思います。なお今回の記事は遊びがなく面白みに全く欠けております。

 

 

「グレイテストショーマン」


 

省略することの大切さ

 

いい映画は特徴として導入部分に観客を引き寄せる仕掛けがあるものですが、本作品もキッチリと見せ場を作れています。この導入部分だけで、これはなかなかいい映画になるのではと予感させてくれます。攫みはOKです。主人公2人の子供時代の描写は最低限のシーンのやり取りだけに抑えていますが、最低限ながらも時間の経過が映像として表現されており流れがスムーズです。主人公が三食の好待遇のナレーションを聞いた後で、その次のカットがヒュージャックマンの歩く背中になるショットに、ああ、いい映画だなあと感心した次第です。省略することは時と場合によりますがとても大事なテクニックなのです。

 

子供時代のシーンがいいですね。好きだなあ

いいショットですね

Million-dreams.jpg

 

 

強味を全面に打ち出す

 

その後は、流れを停滞させることなくリズムよく物語は展開していきます。その展開の速さは人によっては早急だと思われるかもしれませんが、リズムを全体の軸にしているので心地よく感じられます。横道にそれて見る人のリズムを考えない不親切な映画が多い中、本作品は親切で何より観客目線なのです。サーカスのメンバーを集めるくだりも、個人の葛藤を深追いせず最低限ギリギリで処理されています。ここでも省略することが活かされています。要は選択と集中なのです。

 

省いた時間で集中させたのがミュージカルシーンですが、どれも印象的であり素晴らしい出来です。映画は映像でアピールするものですので、その思惑は成功していると思います。私はミュージカルはほぼほぼ見ることはありませんが(82年アニー、88年コーラスラインは大好きですね)これからはレパートリーに入れるかも?しれません。多分にご都合主義な所もありますが作品のパワーでそれらを打ち砕いていると思います。何より見た後に余韻が残るというおまけがついるのが嬉しいですね。私の映画の趣味は人が殴り合う、銃撃戦、意味もなく爆発する、人が高いところから飛び降りる、など男子中学生が喜ぶものがメインですが、こういう映画もなかなかいいものですね。

 

 

 

 

 

さあやってまいりました。胡散臭さも魅力のひとつ、ぼんくら力だけはやたらと向上する愛すべき東映映画を今回もご紹介しましょう。

50歳過ぎて日々ボンクラ力がアップするのも困りものですが・・・


本日の東映映画
やくざ対Gメン囮
1973年 工藤栄一監督


麻薬密売で逮捕され密告者となるのを条件に釈放されたヤクザの 幹部と優秀な成績を誇りながらも協調性を欠く性格ゆえ、ただ 一人でヤクザ組織への潜入を命じられた麻薬取締官が、奇妙な友情でつながりながら武装麻薬組織を追跡する。

過渡期ならでは

公開された1973年は東映が任侠映画から実録路線に以降した年になります。こういう過渡期には少し本来の実録やくざ映画にはないユニークな試みや、らしかぬ意外性が見受けられるものです。本作品はまず東映ポルノ?と思えるほどエッチなシーンが多いです。もちろんそんなにハードではありませんしライトですが目立ちます。また普通ラストは殴り込みでつつがなく終わるのですが、本作品はなんの救いもなくカタルシス0で厭な感じで終わります。この厭な感じはハネケ監督ファニーゲームを薄めたような感じと言えば分かりやすいのかも知れません。作品の出来に関しては、可もなく不可もなくで工藤監督の生真面目さが裏目にでているように感じます。佐藤純彌や中島貞夫と比較するとどうしてもパンチが弱いのです。実録映画でパンチが弱いと結構難しいです。実録路線は無駄な熱量が意外とポイントになるからです。

 

工藤栄一監督は任侠も手掛けてませんが実録も本作品とまむしシリーズ一本を除き手掛けることは以降有りませんでした。実録路線が終わった79年に、その後の仁義なき戦いを発表することになります。

関本郁夫監督について

関本邦夫監督という人をご存知でしょうか?誰それ?と言われる方が殆どだと思います。東映映画好きの間では知られていますが一般的な知名度はかなり低いです。有名な作品でいえば極道の妻たちシリーズ(東映ビデオ製作)ではないでしょうか?この関本監督は本作品の助監督を務めておりこの年監督デビューされています。私は以前関本監督が作られた極道の妻たち死んでもらいますを見て、出来の良さにビックリした記憶が有ります。一言で言うと任侠映画のツボをきっちりと押さえているのです。もしあと十年入社が早く(入社は昭和36年 監督デビュー迄普通10年ほどかかります。)任侠映画全盛期に監督デビューしていたらならおそらく良質な作品を多く作り出せたに違いないと思われます。監督採用が一流大学出身(ほぼ東大、京大、または早稲田、慶応)のみという時代に、工業高校卒で監督にまで上り詰めた関本監督は戦後他社も含めて極めて稀だった事も記しておきます。

 

 

おまけ

 

 

 

おわり

 

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