チョコレートドーナツ | 愛すべき映画たちのメソッド☆

愛すべき映画たちのメソッド☆

映画感想家・心理カウンセラー・芸術家のNatsukiです☆

『映画にどんなに素晴らしいメッセージが含まれていようと
「娯楽性」がなければ作品としては失敗だ』/レオナルド・ディカプリオ



「ママは帰ってくる?」

ママと二人で暮らす少年。

彼は何年も何年も、当たり前の様に「ネグレクト」されながら生きている。

少年は「ママからの愛情」をたぶん一個も貰わずに生きてきた。

ママから「笑顔」も貰っていないので上手に笑う方法もまだ知らない。

少年はママから存在自体を歓迎されていないので「自己否定感」も募らせている。

いつもママに「怒られない様に」、ママの「邪魔にならない様に」ばかりを気をつけながら生きている。

そんな少年が人生で初めて「心から自分を愛してくれる人たち」に出会い、共に生活する事になる。

その奇跡の瞬間から少年の「本当の幸せ」がどんどん溢れてくる。

美味しいチョコレートドーナツ、寝る前のハッピーエンドのお話、初めての自分の部屋、学校でお友達と一緒に勉強したり「パパとママと自分」の絵を描いたり、あらゆる「初めて」と色んな「幸せ」を経験して輝いていく。

本作は、同性愛に対して差別と偏見が強く根付いていた1970年代のアメリカでの実話をもとに、育児放棄された子どもと家族のように暮らすゲイカップルの愛情を描き、トライベッカやシアトル、サンダンスほか、全米各地の映画祭で観客賞を多数受賞したドラマ。

カリフォルニアで歌手になることを夢見ながら、ショウダンサーとして日銭を稼いでいるルディと、正義を信じ世の中を変えようと弁護士になったポール、そして母の愛情を受けずに育ったダウン症の少年マルコは、家族のように寄り添って暮らしていた。

しかし、ルディとポールはゲイであるということで好奇の目にさらされ、マルコを奪われてしまう・・・。

本作は単なる「感動作」ではない。

現代にも通じる「差別と偏見」に関する物語。

小さな偏見は、差別の連鎖を生み、やがて誰も責任を取れない大きな事態を引き起こしてしまうかもしれない。

それは、純粋で真っ直ぐで正直な「愛」でさえも勝てない程に大きくなる場合がある。

人生で初めて「自己肯定感」を持てた少年の屈託のない笑顔を一生忘れることはないだろう。

そして、ラストシーンでの「歌のチカラ」に心から勇気づけられ心が震える。

親子が共に生活し、共に笑い、共に泣き、共に歩いていける事がどんなに幸せで、どんなにかけがえのない事なのか。

我々に当たり前に存在する「幸せ」を改めて考え、改めて実感し、感謝しなければいけない。

あの少年のように・・・。

「これはマルコがどこにいるのが幸せであるかを考えるための裁判ではないのですか?私は法の隙間から零れ落ちる子供を救いたいのです。どうか彼に機会を与えてください。彼が施設へ行っても里親は一生見つからないでしょう。なぜなら知的障害があり背が低く太った男児を養子に欲しいと思う人間は一人もいないからです。私たち以外はね。私たちは彼を愛しているのです。愛情をもって立派な大人に育ててみせます。どうか、彼に機会を与えてください。」


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