「父親の役目は、子供に希望を伝えること。母親の役目は、子供に愛を伝えること。」
主人公であるシングルマザーは20歳の時、初めて本気で好きになった男性と結婚し2人の子供を産むが、不慮の事故で夫が他界してしまう。
女手一つで幼い2人の子供を抱えることになった女性は、両親が離婚していたこともあり極度の貧困に陥り、自暴自棄になりつつも強くたくましく生きていく。
2010年のTVドラマ『Mother』と同じスタッフで制作された本作は、同脚本家の『それでも、生きてゆく』の満島ひかりが主演。
シングルマザーの数々の過酷な現状を《比喩》を織り交ぜた「物語」として、時に劇的に、時に大袈裟に表現している場面が多々あるとしても、斜めからの冷めた視点で観なければ確実に心を揺さぶられる。
とにかく満島ひかりの「自然」な演技の集大成で、我が子と接している時の言葉や「満面の笑顔」、子供が寝た後で「生活の苦しさ」に一人悩む表情、自分を裏切った者を攻める時の感情の起伏と長セリフ、愛する者を失った寂しさを我慢しきれずに「子供の様に」泣く姿など、一人の《人間》としての「弱さを秘めた強さ」を生々しく演じていて引き込まれる。
数々の困難を乗り越えながら子供に対しては必ず「笑顔」で接している日々の中で、実は社会に対しての「怒り」や「不満」や「憤り」を溜め込んでいて、爆発寸前のギリギリで頑張っている。
「折れない強さ」でドン底を生き抜きつつも、いろいろな逆境の連続で取り乱してしまったり、マイナス感情が噴火してしまったり、涙が止まらなくなる時もある。
そんな「危うい」雰囲気をここまでリアルに表現できる俳優は、満島ひかり以外に思い浮かばないという程に迫真で巧い演技を堪能できる。
『フォレスト・ガンプ』『おおかみこどもの雨と雪』『チェンジリング』『エイリアン2』『母なる証明』などに並ぶ程に《強い母親》を描いた作品として、永遠に記憶に残るだろう。
見ているこちらまで《生命力》が溢れてきて、生きるパワーをもらえる。
「わたしには、命をかけて守る命がある。」
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