「死、生命、誕生、未来、愛、希望、勇気。全てはつながっている。」
1849年ニュージーランド、1936年スコットランド、1973年サンフランシスコ、2012年英国、 2144年ネオ・ソウル、2321年ハワイ、という異なる時代の異なる場所を舞台とし、その6つの物語をグランドホテル方式で同時進行で描き、各時代のキャストは他の時代にも違う役柄で登場する。
手塚治虫の『火の鳥』や、浦沢直樹の『BILLY BAT』や、中村義洋監督の映画版『フィッシュストーリー』を彷彿とさせる《時空を超越した絆》に関する172分の壮大なSFドラマ。
特殊メイクとCGを駆使した最先端の映像と、「愛」「音楽」「小説」「映画」「セックス」「神話」「AKIRA」「宗教」「バイオレンス」「奴隷」「サスペンス」「裏切り」「同性愛」「マトリックス」「自我」「GANTZ」「宇宙」「テロ」「食」「ダーティハリー」「救世主」「輪廻転生」が《救いと絶望》の物語の中に詰まっていて、3時間弱の長さを全く感じさせない。
国や人種、性別の境界線を超えた人間の本質を表現するために、同じ魂を持つ複数の人物を《一人》で演じるという点も、手塚治虫スタイル。
劇中の作曲家が生み出す《クラウド・アトラス六重奏》という曲があらゆる時代で流れ、6層構造の本作の構成を象徴している点も巧い。
「自分」という存在は、遠い昔から続く「過去」と、永遠に続く「未来」の《間》にいて「今」を生きている。
「死は来世への扉に過ぎない」というセリフを踏まえて、今現在生きている我々は「過去と未来」の橋渡しをしている存在なのだとしたら、とても小さく、とても儚く、しかしとても重要なキーパーソンなのだろう。
そんな果てしなく壮大な空想が脳内に広がる。
そして最後は「私たち人間は何のために生きているのか?」という究極の問にまで辿り着く。
一人の人生は「永遠」の中では一瞬の出来事なのかもしれないが、その時代を生きている者の主観で見ると本当に「長く険しい旅路」なのだ。
「命は自分のものではない。子宮から墓場まで、人は他者と繋がる。過去も未来も、全ての罪が、あらゆる善意が未来を作る。」
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