「蜘蛛と同じだ。小さいほど強い毒がある。」
2074年の犯罪組織の依頼で2044年にタイム・トラベルしてくる標的を処理する殺し屋、通称「ルーパー」の男。
ある日、依頼で処理することになったのは、2074年からやってきた30年後の自分自身だった。
未来の自分を殺せずに取り逃がしてしまった男は、彼が標的にしている相手が未来の犯罪王となる「今は幼い子供」であることを知る。
この奇想天外なSFサスペンスの展開や落とし所はなかなか予想できないだろう。
貧困層が暮らす薄汚れた街並みや、ホバーバイク、目薬ドラッグ、超能力、携帯電話、錆びたタイムマシン、新車同然のユーノス・ロードスターなど、現代の延長線上にある「近未来」のデザインも素晴らしい。
主役のジョゼフ・ゴードン=レヴィットは、さり気ない特殊メイクと合わせて、30年後の自分自身であるブルース・ウィリスの喋り方や仕草を完璧にマスターし、素人ではなかなか気付かないレベルで表現している。
本作同様、ブルース・ウィリスが過去へ飛ぶ『12モンキーズ』や、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の30年刻み、未来を変える為に過去へ行く『ターミネーター』など、タイムトラベルSF映画のオマージュも数多く詰まっている。
タイムマシンの外観と、幼い男の子が重要な鍵を握る後半は『AKIRA』のアキラや、『童夢』の悦子を実写で観れた様な驚きと感動がある。
「パンドラの箱」とも言うべきタイムマシンによって引き起こされる「運命の無限ループ」という《タイムパラドックス》からは、もう誰も逃れられない。
「未来を変えるんだ。」
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