「礼なら、父に」
伊坂幸太郎原作の映画化の中で一番好きな作品。
予備知識ゼロで観れば驚きの連続を味わう事ができる。そしてラストの5分に《宇宙へ突き抜ける人生の歓喜》が凝縮されている。
一番好きな映画『マグノリア』に最も近づいた日本映画である上に、ズバ抜けた発想で起承転結のパズルを崩壊&再生する見事なストーリー展開はスタンディングオベーションもの。
全世界の映画史上、最も《ROCK魂》に溢れた作品でもある。その心意気にエンドロールで嬉し涙が止まらなかった。
1975年、《セックス・ピストルズ》がデビューする1年前。日本の売れないパンクバンド《逆鱗》が解散前の最後のレコーディングを行った。
その「FISH STORY」という曲のレコードがあらゆる時代の人々に影響を与える。
この世界に意味の無い出来事や、不必要な人などいない。どんなにちっぽけな物でも、小さな言葉でも、報われない努力でも、必ず何かに影響を与えている。
売れない歌にも、退屈な小説にも、値段の付かない絵画にだって、大なり小なり人々の心を揺さぶる何かがある。だから存在する意味がある。
初めは小さな一歩でも、たとえ食物連鎖の底辺にいても、木からリンゴが落ちるのを見ただけであっても、ずっと先の時代や人々に間接的にでも影響を与えている。
誰もが何かに、そして誰かにきっと必要とされている。
気が付かないだけでこの世界は愛に溢れている。素晴らしい音楽が鳴り響いている。見たこともない程の鮮やかな色で彩られている。
そんな勇気と希望と愛で構成された一本の映画もある。
不幸とは、幸せだという事に気付かない事だろう。
「正義の味方になるためには、強い肉体と、動じない心、それを身につける準備こそが、必要だ」
Android携帯からの投稿