塩野七生「ギリシア人の物語」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

「民主政とその政体下でのリーダーたちの能力の有る無しは、一介の私人にとっても重要な問題だ。個人の努力で解決が可能な問題と、国家が乗り出してこないと解決できない問題の違いは、厳として存在する。それで私が選んだのが、古代ギリシャに、それも特にアテネにもどってみることであった。何と言おうが、彼らこそが民主政治の創始者であったのだから。」

「というわけでこの作品の中では、民主主義はどうあるべきとか、民主政下のリーダーはどう行動すべきか、また有権者の側はそれにどう関与すべきか、についてはいっさい言及されない。」

「その代わり、なぜ彼らは、それまでは誰一人考え付かなかった、民主政を創り出す気になったのか。また、いつ誰が、どのようにしてそれを機能させ、また国家存続の危機に際しても有権者はどう関与し、なぜそれが可能であったのか。そしてその後はどのような結果につながっていったのか、という事柄のすべてをたどることになるだろう。」