白石仁章「杉原千畝」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

「インテリジェンス活動とは、貴重な情報を入手し、精査し、将来のために役立てる活動である。近年『インテリジェンス』という言葉は、日本でもようやく理解され始めたが、まだまだ一般的にはなじみの薄い言葉であろう。訳語として『諜報』が使われることも多いが、『諜報』は時としてマイナスイメージを与えかねない。しかし、本書をお読みいただければ、杉原がインテリジェンス活動を通じて、多くの人命を救ったこと、また受け止める側が的確な判断を下していれば、戦争を回避しえた可能性すらある重要情報を入手していたことがおわかりいただけるはずだ。もし、あの戦争を回避できれば、どれだけ多くの悲劇が防げたであろうか…。杉原が行ったインテリジェンス活動は、戦争や混乱に結びつく活動では決してない。むしろその正反対、人々に平和と秩序をもたらすための活動であった。だからこそインテリジェンス・オフィサーとしての杉原千畝に着目した次第である。」