エッカーマン「ゲーテとの対話」その5 | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

 「ついで私たちは、多くの人、とくに批評家や詩人たちが、本当にすぐれたものを全く無視し、かえって二流程度のものに特別な価値をおいている点にふれた。」


「人間というものは」とゲーテはいった、「自分でできることだけを認め、賞賛するものなのだ。そしてある人たちは、二流程度のもので生計を立てているので、彼らは詭計を弄して、文学のなかでたしかに非難に値するものを見つけ出し、それを徹底的に非難し、完膚なきまでにこきおろして、とはいえ、それにしたっていずれ多少はよいものをもっているはずなのだが、そうすることで自分たちが称賛する二流程度のものを、ますます立派に見せようとするのさ。」


「私は、将来こうした経験について思いをいたすことがあるかもしれないと考え、この言葉を心にとめた。」


 本書は、ゲーテの箴言集である。