W・S・チャーチル「第二次世界大戦第3巻」その2 | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

 「愚かな人々、しかも敵国に限らず大勢の愚かな人々は、合衆国の力をみくびっていた。合衆国は軟弱だという者もいたし、アメリカ人は決して団結しないだろうという者もいた。アメリカ人はただ遠方でのらくらしているだけなのだ。彼らは決して取っ組み合いはしないだろう。彼らは流血には耐えられないだろう。彼らの民主主義と頻繁な選挙制度は、彼らの戦争努力を麻痺させるだろう。彼らは敵にとっても味方にとっても、地平線上のかすかなかすみにすぎないのだ。今こそ我々に、数こそ多いが、凡そ縁遠く、富裕であるが、おしゃべりなこの国民の弱さが、わかるだろう。

・・・・しかし私は、最後の最後まで死に物狂いで戦った南北戦争のことを研究していた。私の血管のなかにはアメリカ人の血が流れている(チャーチルの母、ランドルフ・チャーチル侯爵夫人は、ニューヨークの銀行家レオナード・ジロームの娘)。30年以上も前にエドワード・グレイ(第一次大戦中のイギリスの外相)が私にいった言葉を、私は思い出した。合衆国は『巨大なボイラーのようである。いったんその下に点火すると、生み出す力には際限がない』という言葉だった。感激と興奮に満たされ、満足して私は床に就き、救われた気持ちで感謝しながら眠りについた。」


 アメリカが参戦したときの、チャーチルの感慨