W・S・チャーチル「第二次世界大戦1」その3 | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

 「『わが闘争』の主要テーゼは簡単である。つまり、人間は闘う動物である。ゆえに闘う者の独立社会である国家は、戦闘単位である。生きる有機的組織体がその存在のために闘うことを中止するならば、それは滅亡する運命にある。闘うことを止める国家も民族も、同じ運命をたどる。民族の闘う能力は、その純粋さに左右される。ゆえに必要なことは外国からの汚辱を取り除くことである。ユダヤ民族はその普遍妥当性のため、必然的に平和主義者であり、国際主義者である。平和主義は大罪である。その理由は、平和主義は生存の戦いにおいて、民族の降伏を意味するからである。ゆえに、いずれの国を問わずその第一の義務は、国民大衆を国家主義的にすることである。教育の最終目的は、最小限の訓練によって軍人に変えることができるような、ドイツ人をつくることである。歴史上の大変化は、もし狂信的で激情的な熱情の推進力がなかったならば、考えられないことであったろう。平和と秩序というブルジョワ道徳によっては、何事も成就できなかったであろう。世界はいまこのような変動に向かってうごいているのだ。新しいドイツ国家は、ドイツ民族がこの地上における最後にして最大の決定に対して準備を整えている姿を、見なければならないのだ。」


「対外政策は無遠慮であってよい。外交の任務は、国が英雄的に倒れるのを認めることではなく、むしろ国が栄え生き残ることのできるのを見ることである。

イギリスとイタリアのみが、ドイツと同盟となり得る二国である。ドイツは自分で自分の国を守らない限り、だれもドイツを守ってくれないだろう。ドイツが失った領土は、厳かに天に訴えたり、国際連盟に信心深く希望をかけたところで、回復できるものではないのだ。それはただ武力によってのみ可能なのだ。ドイツは一度にすべての敵と戦うような誤りを繰り返してはならない。フランスを感情的理由からだけで攻撃するのはばかげている。ドイツが必要とするのはヨーロッパにおける領土の拡張である。ドイツの戦前の植民政策は誤りであり、放棄すべきである。ドイツはソ連への、とくにバルト諸国への拡大を求むべきである。ソ連とはどこの同盟も許すべきではない。ソ連の目的は国際ユダヤ主義の勝利であるから、西欧に対してソ連と手を組んで戦いをしかけることは罪悪である。これがヒトラーの政策の『花崗岩の柱』であった。」


 チャーチルのみた『わが闘争』