W・S・チャーチル「第二次世界大戦1」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

 「ある日、ルーズベルト大統領は私に対して、こんどの戦争をなんと呼ぶべきかについて、一般の意見を求めているといった。私は即座に『無益の戦争』と答えた。前大戦の戦火を免れて、世界に残されていたものを破壊つくしたこんどの戦争ほど、防止することが容易だった戦争はかつてなかったのだ。数億の人間のあらゆる努力と犠牲と、大義名分の勝利のあとに、われわれがなおも平和と安全を発見することができず、しかも我々がいままでに乗り越えたよりも、さらに一段と大きな危険に直面している事実を前に、人類の悲劇は頂点に達している。私は、過去に深い考慮を払うことが、来るべき日の手引きとなり、新しい世代をして過去の誤りを幾らかでも是正せしめ、こうすることによって人間の必要と栄光に従い、未来の恐るべき光景の展開を抑制できることを、私は心から願っている。」


 1948年3月に書かれたものである。