アル・ゴア「資本主義と未来」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

 「世界を変える6つの要素がある。

①国境を越えて絡み合う世界規模の経済

②数十億人がネットでつながり知識を共有

③生命科学の革命

④西洋から東洋への構造再編

⑤維持できない成長

⑥気候変動の危機――だ。

我々はこれほど多くの革命的な変化が同時に進展する事態を経験したことはない。人類は最も重要な選択に迫られている。」


「天然資源の利用や人口増加が今のペースで続けば成長を維持できない。コンピューターによるアルゴリズム取引など、市場の安定を瞬時に崩すリスクをはらむ新たなビジネスが増えている。表土流失や地下水枯渇も深刻で、今世紀中に(生物)種の半分が死滅する危機に直面している。これは倫理に反する。維持できない成長の問題の取り組まなければならない。」


「資本主義が維持不可能だとは考えていないが、改革は必要だ、例えば我々は国内総生産(GDP)を成長の指標としてよく使うが、大きな欠陥がある。1937年にGDPを考案した経済学者サイモン・クズネッツ氏は、『GDPを経済政策の指標に使ってはいけない』と述べた。GDPは政策形成に重要な項目を考慮に入れていないからだ。」


「GDPが増えても95%の所得は1%の富裕層が得る。残りの人々はGDPが拡大しても利益を得ない。GDPが環境汚染を評価できず、教育や医療、地域サービスの利点を測定することも可能でない。成長をどのように測定すべきか考え直さなければならない。」


「政治や経済の力の源泉は西洋から東洋に移った。ジャカルタ、ヨハネスブルグ、サンパウロ、上海などが新たな中心地になる。米国が力を失ったように見えるのは、我々の政治システムが機能不全に陥り、

政治決定をゆがめる特定の利益団体が米国人の知性を覆い隠したためだ。だが米国にはまだ世界のリーダーになるチャンスがある。民主主義が健全性を取り戻すよう再構築することが重要だ。」


 日経新聞10月19日「日曜に考える」から抜粋。アル・ゴア『未来を語る』がKADOKAWAからでている。