Journalism(反知性主義に抗うために)から | さかえの読書日記

さかえの読書日記

琴線に触れたことを残す備忘録です。

 「私は、ここに紹介してきた本が、どれも一級品であることに自信がある。しかし、読書が優れて個人的なものであり、どんな名作であっても、その人の人生経験や気分・体調・興味によっては、ちっとも面白く感じられない。だから、読書をする際には『今、その本を読むべき状態にあるか』を慎重に判断してほしい。もし、一生の友となるべき本を、たまたま機嫌が悪い日に手に取ってしまい、『この本はだめだ』と感じてしまったとしたら、その損失は計り知れない。だからこそ、時には『面白そうな本だからこそ、敢えて我慢する』姿勢も重要だと思う。私は、コニー・ウィリス『ブラックアウト』が、最上級のセンスオブワンダーをもたらすことを知っている。読んだことがないにもかかわらず、私はそのことを知っているのだ。忙しい時、気分が乗らない時に、この作品を手に取ることは、作品への冒涜である。だから私は、この傑作の世界に没入できる日が来るのを待っている。」


 首都大学准教授木村草太の文から抜粋