仲正昌樹「マックス・ウェーバーを読む」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

 「かつて日本の大学には、社会科学系の学問を真剣に学ぼうとする学生であれば、絶対読んでおくべき古典テクストの共通定番のようなものがあった。その中に、マックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』があった。」


「ウェーバーは、内面的信仰の問題である『プロテスタンティズム』と、経済的な投資・生産の様式である『資本主義』という一見、何の接点もなさそうな二つの事象を、『世俗的禁欲』というキー概念によって巧みに結びつけたうえ、この概念を軸にして、ルターの聖書翻訳、カルヴァンの恩寵論、ピリグリム・ファーザーズの信仰、フランクリンの貨幣論など、西欧近代を特徴づける様々な重要な人物が登場する、一つの大きな物語を描き出していく。」


「ウェーバーのテクストの多くには、方法論的な厳格さとともに、分野横断性、物語性、メッセージ性が兼ね備わっている。この四つを兼ね備えた文章を書くことは難しい。そういう文章を書けることは、『知識人』の理想である。この場合の『知識人』というのは、自らの専門知の枠内にとどまることなく、社会が直面する様々な問題をめぐる学際的な議論にコミットし、アカデミズムの内外に知的インパクトを与える、学識経験者というような意味合いである。」 


 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を読むための準備