小倉紀蔵「入門朱子学と陽明学」その5 | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

 「『朱子学』という言葉の意味について説明する。本書で『朱子学』というとき、それは朱子(本名は朱熹)の思想を指すのではない。一般的に『朱子学』という場合も、ほとんどの場合は『朱子の思想』という意味ではない。朱子という人間の思想は、彼が独自に編み出したものだけではなく、宋の時代におよそ百五十年ほどをかけて形成されてきた思想の潮流を、彼が集大成したものだからである。この潮流全体を指して朱子学という。もちろん朱熹の思想だけを取り出して朱子学という場合もないわけではないが、たいてい、朱子学といえば朱子が集大成した内容の全体をさす。具体的にいえば、周濂渓、程明道、程伊川、張横渠から朱子に至る流れである。このうち程明道と程伊川は兄弟であり、二程子とか程子などとよばれている。朱子以前の四人と朱子を合わせて『周程張朱』とよぶが、本書で『朱子学』というのは、要するにこの『周程張朱』の学問のことである。」


「また、これらは宋の時代(北宋・南宋)の思想なので『宋学』ともいわれ、また『道』を基本とするので『道学』をともいわれ、同じく『理』を根本原理とするので『理学』とも言われ、『性(本性)が理である』というテーゼが核心なので『性理学』ともいわれ、程子と朱子を中核とするのの『程朱学』ともいわれる。」


 基本的な整理