小倉紀蔵「入門朱子学と陽明学」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

 「儒教は中国と朝鮮において最も重要な近代以前の思想であり、日本とヴェトナムにおいても非常に重要な近代以前の思想であった。それゆえに、これらの地域で、西洋を範とする近代化を進めるにあたっては、最も強大な「倒すべき敵」とみなされた。特に朱子学という学問に対しての、誹謗ははげしい。この学問に与えられた不当な価値は数多いが、その中でも最も重大なものは、『朱子学は停滞の思想である』というものだと私は思っている。朱子学は徹底的な保守・守旧の思想であり、その教えを後生大事に守った中国と朝鮮は数百年もまどろみ続け、そのせいで近代化に遅れて悲惨な運命をたどったのだという。」


「まさにそのような考え方自体が、西洋近代中心主義に毒された誤謬なのである。事実はそうではない。朱子学は変革と躍動と生命の思想なのである。」


「朱子学と陽明学、前者は宋の時代、後者は明の時代に打ち立てられた儒教史上の二大スクールである。朱子学は朱子の死の直前に『偽学』というレッテルを貼られて弾圧されたが、元の時代には官学となってその後二十世紀まで東アジアをほぼ支配したといってよい。特に朝鮮は十四世紀終わりから二十世紀初めという長期にわたって、ほとんど朱子学一辺倒となった。陽明学は王陽明が朱子学を継承しつつそれを批判・超克したラディカルな『心の哲学』である。」


 どこまで理解が進むか疑問だが読み解いていく。