「私が尊敬するもう一人の近代の思想家、レッシングの1778年に書いた文章を連想します。『自分が所有している、あるいは所有していると思っている真理によってではなく、真理に迫ろうと真摯にはらった努力によって、人間の価値が決められる、というのは、真理の所有を通してではなく、真理の探究を通して、人間はその力を拡充し、そしてそこにこそ人間的完成への絶えざる進歩が存在するからである。所有は人間を安心させ、怠惰にし、そして自惚れさせる。もし、神が、右手に『すべての真理』を、左手に『真理を求めてやまない欲求』を、それも『求めながら永遠に迷う』という条件付きで、持っていて、私に向かい『選べ』というならば、私は謙虚にその左手にすがり、『こちらを与え給え。真理そのものはただ御身のみのものであるゆえ』と答えるであろう。」
「この文章は、思索の冒険について語っている。真理への戦闘的といってもいい情熱と、自分の仕事に対する限りない謙虚さとが密接に結びついているその姿勢です。」
本書は、丸山への追悼文から成る。ヴォルフガング・シャモニによるもの。
文中のレッシングとは、ネット情報によると、以下の通り。
ゴットホルト・エフライム・レッシング(Gotthold Ephraim Lessing, 1729年 1月22日 - 1781年 2月15日 )は、ドイツ の詩人 、劇作家 、思想家 、批評家 。ドイツ啓蒙思想 の代表的な人物であり、フランス古典主義からの解放を目指し、ドイツ文学のその後のあり方を決めた人物である。その活動は、ゲーテ やシラー 、カント 、ヤコービ 、ハーマン 、ヘルダー 、メンデルスゾーン など当時のドイツ文学・思想に多大な影響を及ぼした。また彼の死後、文学・哲学界でいわゆる「スピノザ論争 」がおきた。