ハイエク「隷属への道」から | さかえの読書日記

さかえの読書日記

琴線に触れたことを残す備忘録です。

「歴史は完全に同じことを繰り返すものではないとはいえ、同じような過ちが繰り返されることもある。しかしまた、どんな歴史的発展も決して不可避なものではないがゆえに、同じ過ちを避けるために、過去の歴史から多少のことは学び取ることができるものだ。差し迫った危険に気がつくためには、何も預言者でなければならないという必要はない。ある人の持っている経験と関心が偶然に結びつくことによってほとんど誰も見ていないようなある出来事の本質が、その人に明らかにされることもしばしばある。」


「本書は、同じ時代を二度生きたのとほとんど同然の経験をしたこと――それが言いすぎなら、きわめて似た思想発展を二度にわたって観察したこと――から生まれてきたものである。このような経験は、一国にとどまっている限り、まず持つことはできないだろう。だが、ある種の関心を持ちつつ、いくつかの国で長い期間暮らすことによって、そういった経験をすることがある。大半の文明国において、人々の考え方の傾向を左右している要因というものはかなり似通っているが、それらの要因が力を発揮する時点や、力を発揮していくスピードは、それぞれの国で同じというわけではない。だからこそ、ある国から別の国へと居を移していくと、極めて似た思想発展の局面を、二度観察できることがある。そういう場合、人の感受性はとりわけ鋭敏なものとなる。20年ないし25年前に聞いたことのある意見や政策が、再び表明され、提唱されるのを聞くとき、そこに人はある決定的な思想傾向の兆候を読み取ることができる。必ずとは言わないまでも、極めて確かに、そこから同じような発展の道筋が生まれてくると思われるのである。」


 西ヨーロッパの国々のことか?