岡田温司「黙示録」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

「黙示録、あるいはアポカリプスのイメージは、滅亡や危機、破壊や脅威の感覚と密接に結びついている。」


「その原点はどこにあるか。いうまでもなく、新約聖書の最後に収録されている『ヨハネの黙示録』である。とりわけ西洋の宗教と政治、文化と社会、文学と芸術に計り知れないほどの影響力をもってきたテクストである。宇宙や自然の予期せぬ大異変から、地上の暴君によるおぞましい支配、人々の止むことなき諍いなどにいたるまで、そこには、想像を絶するほどの事件が溢れかえっている。」


「とはいえ黙示録、つまりアポカリプスの本来の意味は、そうしたカタストロフにあるわけではない。その原義は、秘密のヴェールが剥がれること、つまり啓示である。『この黙示は、すぐにも起こるはずのことを、神がその僕たちに示すためキリストにお与えになり、そして、キリストがその天使を送って僕ヨハネにお伝えになったものである』、『黙示録』はこうはじまる。要するに、神からキリストへ、キリストから天使へ、天使からヨハネなる人物へ、そしてヨハネから読者へと順に伝えられる神秘のメッセージなのである。」


 巷で聞く黙示録から受けていたイメージとどのように違うのか、あるいは同じなのか、楽しみである。