中野雄「丸山真男の音楽談義」 | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

「没後、ゆか里夫人の許可を得て、書庫に収納されていた三万数千冊の和洋文献の一部を手にとってみて、私は思わず『先生の助手になれなくてよかった』と独り言を放った。英・独・仏語の無数の古典的文献に精読の跡が万年筆で記され、日本の古典、江戸時代の文献の蒐集と研究の痕跡も膨大な数にのぼっていたからである。凡人には想像もつかない語学力と読解力――仮にこの一点だけを考えても、この人の助手になって毎日学問の道に勤しんでいたら、日ならずして私は発狂するか、自殺していたと思う。「音楽助手」でよかったと、今しみじみと神に感謝している。」





 「丸山真男の音楽の対話」の著者が新潮45で書いていた記事から抜粋