村上春樹「音楽について話をする」から | さかえの読書日記

さかえの読書日記

琴線に触れたことを残す備忘録です。

「小沢征爾さんとは、生き方の傾向として、共感を抱けるところがある。」


「まず一つは、我々のどちらもが、仕事をすることにどこまでも純粋な喜びを感じているらしいということだ。音楽と文学という領域の違いはあれ、ほかのどんなことをするよりも、自分の仕事に没頭しているときが何より幸福だ。そしてそれに熱中できているという事実が、何にもまして深い満足を与えてくれる。」


「二つめは、今でも若い頃と同じハングリーな心を変わらず持ち続けていることだ。いや、これくらいでは足りない、もっと奥まで追求したい、もっと前に向かった進んでいきたい、というのが仕事をする上での、また生きる上での重要なモチーフになっている。自分が今やっていることに納得はしている、自信も持っている。しかしだからといって決して満足はしていない。もっと素晴らしいこと、もっと深いことが自分にはできるはずだ、という感触がある。」


「三つめは、頑固なことだ。辛抱強く、タフで、そして頑固だ。自分がやろうと思ったことは、だれが何と言おうと、自分が思い描くようにしかやれない。その結果、自分が厳しい目に遭うことになるとしても、自分のとった行動についての責任は言い訳なしで引き受ける。一貫して、揺らぐところはない。少なくとも僕にはそう見受けられた。」



 村上春樹が「生き方」について語るのは珍しくないだろうか?