「丸山真男 音楽の対話」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

「フルトヴェングラーのハンブルグ詣でで思い出したんだけれど、バッハも若い頃、リューベックに長期間出掛けてブクステフーデの作品とオルガン演奏を勉強したんだそうですね。何事によらず、自分がこれと思った人に徹底的に喰らいついて、何から何までわがものにする―これが結果的に一番効果的な勉強法です。しかし、喰らいつく相手は必ず当代一流であること、喰らい尽くしたら、独自性は自然に出てくる。それが本当の『創造行為』です。」


「『スキル』の習得は、知識の暗記とちがって、熟練した経験者に親近して「見えざる」教育を受ける過程を必要とするという、当然の事理がコンピュータ時代にあまりにも忘れられていないだろうか。この徒弟的な教育は、他のあらゆるプロフェショナル・トレイニングに共通する。(弁護士、教師、研究者、特定の新聞記者)徒弟制の『永遠性』が!そうしてこのことは日本における保守主義の欠如と無関係ではない。」


「この国には本当の意味での保守主義がない。『守るべきものは守る』という、人間存在の原点ともいうべき思想が真正の保守主義です。『保守』という行為は、本来積極的な行為なのです。」


 喰らい尽くで思い出したが、都知事選に出た元首相細川護煕が、かつて作陶をはじめる際、奈良県在住の辻村史郎師匠のもとで弟子修行したという。朝5時半から晩まで、ひたすら轆轤を回し、1年半に及んだという。

作品が日本橋の壺中居というギャラリーで、時々展示されている。ちなみに壺中居にはかつては小林秀雄なども足繁く通ったという。