村上春樹「小沢征爾さんと、音楽について話をする」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

「僕は素人だけど(素人だからこそというべきか)、音楽を聴くときは無心に耳を澄ませ、その音楽の素晴らしい部分をただ素直に聴き取り、身体に取り入れようとする。すばらしい部分があれば幸福な気持ちになれるし、あまり素晴らしくない部分があればいささか残念に思う。もしその上で余裕があれば、素晴らしいとはどういうことなのか、あまり素晴らしくないとはどういうことなのかについて、僕なりに考えを巡らせたりもする。しかし音楽のそれ以外の要素は僕にとって、さほど重要な意味を持たない。音楽とは基本的に、人を幸福な気持ちにするべきものなのだと考えている。そこには人を幸福な気持ちにするための実に様々な方法や道筋があり、その複雑さが僕の心を単純に魅了する。」


 小林秀雄は音楽について、「私は、音楽家でもないし、音楽の研究家でもないから、音楽に対しては、いつも受身な態度をとっている。進んで音楽から、何かを貪ろうとしたことはない。ただ虚心に耳を澄まして、向こうから聞こえてくる音を細心の注意で捕えようと心がけているだけである。」と言っていた。

丸山真男は何っていているのだろうか?