渡邊としこ「今を生きるための現代詩」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

「教科書は、詩というものを、作者の感動や思想を伝達する媒体としか見ていないようだった。だから、教室では、その詩に出てくるむずかしい言葉を辞書でしらべ、修辞的な技巧を説明し、「この詩で作者が言いたかったこと」を言い当てることを目標とする。国語の授業においては、詩を読む人はいつも、作者のこころのなかを言い当て、それにじょうずに共感することを求められている。あらかじめ作者のこころのなかに用意されていた考えを、決められた約束事にしたがって手際よく解読することなどに魅力はない。」


 国語の授業で詩を読んだことも、先生から何か解釈を教わったことなど、何一つ記憶にない。


「どれだけものを考えつめたつもりでも、人はその年齢なりのことしか考えられない。あとからふりかえってはじめて、『あのとき』に意味が発生する。だから人はたびたび過去をふりかえり、自分の生きてきた物語を読みなおす必要がある。」


 同じ本の中にあった、とても気になる文だ。