橋本治「小林秀雄の恵み」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

「原文で『源氏物語』を読む人間は、「作中の和歌を飛ばして読む」などということをしないだろう。しかし、現代語訳で『源氏物語』を読むと、どうしてもそういうことは起こる。なぜかと言うと、地の文は現代語でも、和歌の部分はそのまま『平安時代の言葉』だからである。他の部分は分かって読んでも、和歌の部分は分かりにくいーだから、飛ばして読んでしまう。『源氏物語』を現代語訳する人間は、普通、和歌まで訳さないからだ。」


「しかし、『窯変源氏物語』を書いた私は、和歌までいじってしまった。和歌は、作中人物の会話であり生の声であるから、そこを飛ばして読まれたは困るのだ。」


 かつて、瀬戸内寂聴訳の源氏物語10卷を通しで読んだことがあったが、確かに和歌の部分はよくわからなかったので飛ばして読んでいた。その後、高校時代の古典を勉強し直してから読み直そうと思っていたがそのままになっている。

 「小林秀雄の恵み」は積読本であったが、冒頭部分を読んだら、『三島由紀夫とはなにものだったのか』を書き上げたとあり、これにより第1回小林秀雄賞を受賞したとのこと。

 小林秀雄に挑戦しようと思ってたが、どれから読もうか迷っている。