森信三「訓言集」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

「人間は、専門の技術方面では優劣を生じるとしても、見識貫禄人格というような面では、如何なる人にも遜色をもってはならぬ。それには当代における一流の人物を深く知ることである。そして目を常に国家において、独りよがりの田舎相撲に了らぬように」


「人間の偉さは、その人の苦しみと正比例する。世の中は正直そのものである。その時代における最高の人物は、最大の内面的苦行をした人である。つまり天はその人の苦労に等しいだけの価値を与え給うのである。」


「冴えとは天人合一の閃きである。天とは天分であり人とは努力である。すぐれた天分を努力によって鍛え上げたものが冴えである。だから我々は冴えに無関心であってはならぬ。」


「現代におけるその道の最高権威には、一度でもよいから接しておくこと。同じこの世に生を享けながら、一面識もなく過ごしてしまうようでは、この世に生まれ甲斐がないというもの。」


「芭蕉曰く、『この道や行く人なしに秋の暮』と。この句が真に分かりだしたら、人間も一人前です。」


 新年にあらためて感じたことである。