居眠り磐根江戸双紙「湯島ノ罠」佐伯泰英から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

「坂崎磐音は道場を吹き抜ける春風のように立っているだけだった。春先の縁側で日向ぼっこをしながら、居眠りしている年寄り猫と評される磐音独特の構えだった。おおらかで伸びやかで隙だらけに見えた。どこからでも斬りかかれるかに思えた。だが、定信の体と剣は固まったまま動かず、またいつの間にか斬りかかる気持ちも失せていた。」


「王者の剣とは相手を威圧することではのうて、得心させるものかと思います。一軍の将の剣は、抜かずして己に克つ心構えの剣であらねばなりません。そのために弛まぬ修行を続けるものかと存じます。」


このシリーズは、44巻目になる。発売の間隔があいているので話の筋を忘れてしまう。