伊藤肇「左遷の哲学」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

「私は働き盛りの4,50代の10年間を不遇のどん底で過ごしました。その結果得られたものは、人の情け、恵みの金の尊さ、人生には幸福一筋、不幸一筋ということはない。喜びの後に悲しみ、悲しみの後には必ず喜びがくるということ。」


「ただ、人が自分の実力に頭を下げているのか、社長の椅子に頭を下げているのか、そのあたりがこんがらがって、よく社長の椅子から降りたら急にがたっとくる人がいる。そんな惨めなことにならぬように、自分自身を磨き、自分自身の実力をつける以外に道はない。」


「人の一生には、焔の時と灰の時とがある。焔の時にはすべて物事が順調で、時にかなり強引にことを進めてもうまくいく。ところが、いったん灰のときに入ると、なにをやってもうまくいかない。そんな時には、「嵐の中でも時間はたつ」というマクベスの台詞でも唱えながら、何もやらずに自己に沈潜して時がめぐってくるのを待つのが得策である。」



伊藤肇は、安岡正篤の高弟であり、城山三郎の友人でもある。「人間的魅力の研究」もおもしろい。