「構造」から | さかえの読書日記

さかえの読書日記

琴線に触れたことを残す備忘録です。

「ユングは、人生の後半の重要性を強調する。むしろ、人生の前半はその人にふさわしいペルソナを形成するため、社会的地位や財産などをつくるために、エネルギーが消費される。しかし、人生の後半は、むしろ、内面への旅が要請される。いうなれば、生きることだけでなく、死ぬことも含めた人生の全体的な意味を見出さねばならない。このような「時」が訪れたとき、多くの人は中年の危機を迎える。

 中年まで順調に進んできた人が、中年になって荒れたり、失敗をしたりすることがよくある。思春期という用語と同じように「思秋期」という用語もあっていいのではないかと思うほど、両者は似た関係にある。それにしても、ヘッセがデミアンを書いたのは、42歳のときだったというのは示唆的である。思春期の本当の意味を知るのは、思秋期になってからのことである。若いときは生きるのに忙しくて意味を考える暇がない。」



デミアンとは、シンクレールという主人公が自己の超自我ともみえるデミアンに導かれ、親の世代からの過去の世界観によって抑圧されていた自己を解放し、さまざまな暗示や象徴を手がかりにして無意識の世界に埋もれた「本来の自己」を発見していくプロセスを描いたヘルマン・ヘッセの小説(アマゾンから)