「無意識の構造」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

「われわれ人間は、その無意識の深層に、自分自身の母親の像を超えた、絶対的な優しさと安全感を与えてくれる、母なるもののイメージをもっている。それらは外界に投影され、各民族がもっている神話の女神や、崇拝の対象となったいろいろな像として、我々に受けつがれている。ユングはそれらが人類に共通のパターンをもつことに注目し、母なるものの元型が人間の無意識の深層に存在すると考えた。

 母なるものの特性の最も基本的なものは、その「包含する」はたらきである。それはなにものをも包みこみ、自らと一体となる。そこには分離、分割ということがない。生み出されたものは、死んでもそこに還り、また再生してくるのみで、そこには本質的に変化というものがない。

 母なるものは、すべてを一体として包含することを基本にしているが、そこに、産み育てるということがはいってくると、自分と分離した子どもを―一体感を保持しているがー変化、発達せしめるというはたらきが入ってくる。つまり、人間の母性は、傷ついた人を癒すとか、ある人が仕事の成果を上げるための支えとして存在するとか、そこに、ものごとを変化せしめる力をもっているのである。」


 「内助の功」とか「あげまん」とか昔から言われているけれど。