東島誠・與那覇潤「日本の起源」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

「歴史は観点や立場によって描き方が変わる。これは事実です。逆に言えば、不偏不党や中立性を謳う歴史叙述ほど、胡散臭いものはありません。「○○歴史観は偏っている」などという言い方をする人は、その時点で十分に偏った歴史観の持ち主なのです。社会科学の巨人マックス・ヴェーバーは、20世紀初頭に、「価値自由」という言葉を提唱しました。しかしそれは、決して中立であれと言っているのではありません。まずは自分の価値観が偏っていることを自覚できて、初めて「自分の価値からの自由」な人なのです。そしてその自覚こそが、「他の価値への自由」を認め、他者との対話を可能にする、最低条件となるはずです。」


 「価値自由」の観点から本書を読んでみる。