河合隼雄「中空構造日本の深層」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

「中空構造」、「均衡の論理」を根底の特色とする神話を、われわれ日本人は、はっきりと自覚はせずにだが昔から現在まで、確かに連綿として生き続けてきた。この神話は、絶対化された中心を持ち、それに照らして下される価値判断の基準に外れるものを容赦なく無価値とか悪とみなして廃除したり抹殺する、欧米の文化の基本的なあり方とは、明らかに対蹠的である。相対立したり矛盾するものであっても、どちらも廃除も抹殺もされない、それぞれが価値を認められ、居場所を与えられて、共存し共生できるような文化が生まれてきた。」


「欧米では、組織の中心に責任者である長がいて、文字通りのリーダーとしてはっきりと自覚を持って、「自らの力によって全体を統率し、導いていく」のが原則であるのに対して、わが国では長は、「リーダーというよりはむしろ世話役」で、力や権威を発揮することよりも、「全体のバランスを図る」気配りに長けていることを、なににも増して期待される。」


 解説文からの引用。これから「中空構造」「均衡の論理」とは何か明らかにしたい。

ウォルフレンの「日本には政治の責任をとる中枢がいない」という背景が分かるかもしれない。