トムソーヤーに絵本読み聞かせ -27ページ目

松田もとこ先生にファンレターで疑問解決!『いればのガタくん、そらとんだ』

 いればのパッコンの作者、松田もとこ先生に、息子がファンレターを出した。


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まつだせんせいへ
パッコンは なんで ガタくんになったのですか
おしえてください


以前にも、このブログで触れたが、我が家では死んだはずのパッコンが、どういうわけで新キャラのガタくんになったのか?問題が頭を悩ませていたのである。


いればのガタくん、そらとんだいればのガタくん、そらとんだ
著者:松田 もとこ
販売元:文溪堂
発売日:2009-04
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すると、お返事を頂いた。


おてがみ ありがとう。
パッコン の え じょうずですね。
しつもんの へんじです。
パッコンは、やかれて、とろけて、
「ガタくん」に へんしん しました。
おはかのなかに、いるんだよ~。
またね。


松田先生ありがとうございました。

言葉がわからない赤ちゃんにも交信可能?谷川俊太郎×大竹伸朗『んぐまーま』


んぐまーま (谷川俊太郎さんの「あかちゃんから絵本」)んぐまーま (谷川俊太郎さんの「あかちゃんから絵本」)
著者:谷川 俊太郎
販売元:クレヨンハウス
発売日:2003-11
おすすめ度:5.0
クチコミを見る


 まだ言葉がわからない赤ちゃんに、絵本を読むとしたら?

 意外とむずかしいですよね。お父ちゃんもいろいろ試しました。
物語はぜんぜん駄目。もちろん、まだ怪獣やヒーローものだって駄目。

 でも、赤ちゃんだって、寝転がっているだけでヒマなはず。

 それじゃあ、色彩と音で勝負だ!


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 あの詩人の谷川俊太郎さんと、お父ちゃんのリスペクトするアーティスト大竹伸朗さんのコラボレーション『んぐまーま』

 テキストはこんな感じ。


うやむやむ
なむばなならむ


いろにけ

へぶとむ

なゆわそ

ねこうえ

ぽきざね

るのか


 ???な宇宙語で語られる絵本は、まさに赤ちゃん限定で交信可能なのだ。未知との遭遇ですな。

 読んでいても、もちろん楽しい。

 それから、

いろ いきてる! (こどものとも絵本)いろ いきてる! (こどものとも絵本)
著者:谷川 俊太郎
販売元:福音館書店
発売日:2008-11-15
おすすめ度:4.0
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 これは谷川俊太郎さん×画家の元永定正さんの『いろ いきてる!』

 福音館書店の「夏休みにおすすめの絵本」というチラシによると、なぜか5~6才向けということになっている。

 哲学的なテキストがふくまれているからか?


おわりそうな はじまり 
はじまりそうな おわり


 みたいな。しかし、この本は赤ちゃんのハートも掴むと思う。 


 ところで、昨日、初スイカを家族で食べた。
 同じマンションのお友達からいただいたのだが、夏を感じました。


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 で、この写真は、10年前、ローマ/ナポリ/シチリアに旅行した時にローマで食べたスイカ。

 最近、昔のフィルム写真 をデジタル化して、マックのiphotoで編集するのに凝っている。

 昔のママの写真に思わずドキリとしたりして‥ 

昭和の乗り物ノスタルジーでこどもの脳を活性化!石川重遠『のりものあれあれ絵本』

5285dc97.JPG のりものあれあれ絵本 (1979年)
著者:石川 重遠
販売元:文化出版局
発売日:1979-07
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山口に帰省してから、次男がやっと乗り物に目覚めた。
いま、一番のお気に入りが『のりものあれあれ絵本』

挿し絵ページが半分折り畳まれていて、開くと次の場面が展開する。

例えば、時間の展開
カーレースのスタート直前 → スタート後
火事発生 → 消防車到着

または、乗り物の姿が変身する
小さなヨット → 大きな帆船
手漕ぎボート → モーターボート

こどものイマジネーションが掻き立てられ、脳が活性化する。

アラフォーおやじにとっては、この70年代に書かれた風景が
ノスタルジーを誘う。

ホーバークラフト、潜水艦、モノレール、東京駅に到着する魅力的な列車たち‥

のりものあれこれ絵本

旅行中に、読み聞かせオヤジはなにを読む?『ユリイカ 特集=クリント・イーストウッド特集』

ユリイカ2009年5月号 特集=クリント・イーストウッドユリイカ2009年5月号 特集=クリント・イーストウッド
販売元:青土社
発売日:2009-04-27
おすすめ度:5.0
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 旅行中、なにを読むか?
 
 読書オヤジとしては、そんな前提で本を選ぶのが最高の喜びだ。

 今回の帰省中、読む本として選んだのは、
『ユリイカ 特集=クリント・イーストウッド特集』、
鈴木道彦『プルースト『失われた時を求めて』を読む』、
松岡正剛『多読術』の3冊。

 そして、音楽はデペッシュ・モード『サウンド・オブ・ユニバース』。
 繊細なノイズミュージック。天気悪い日ならなお良しな音楽。

《送料無料》デペッシュ・モード/サウンズ・オブ・ザ・ユニバース(通常盤)(CD)
《送料無料》デペッシュ・モード/サウンズ・オブ・ザ・ユニバース(通常盤)(CD)


 新作『グラン・トリノ』が好調のクリント・イーストウッド。

『ユリイカ 特集=クリント・イーストウッド特集』は、映画監督 黒沢清と仏文学者 蓮見重彦の対談が刺激的だったが、イーストウッドのインタビューになんだか勇気をもらえた。

Q 後悔していることはありますか?

A  いいや。そもそも後悔するようなタイプの人間じゃないからね。
 後悔そのものを信じないんだ。
 もしも過去をやりなおせるなら違うふうにしてたんだろうと思うことはいくらでもあるけれど、そんなの絶対に無理な話だから考えたって仕方がない。
 それが人間というものさ。

 その時々に備わっている知識で物事に対処していくものなんだ。


 ちょっと肩に入りすぎた力が抜ける気がしました。


プルースト『失われた時を求めて』を読む (NHKシリーズ NHKカルチャーラジオ・文学の世界)プルースト『失われた時を求めて』を読む (NHKシリーズ NHKカルチャーラジオ・文学の世界)
著者:鈴木 道彦
販売元:日本放送出版協会
発売日:2009-03
おすすめ度:4.0
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 それからプルースト。休暇に読みたくなる本に必ずランキングされる。今回は、そのものではなく、翻訳者の鈴木道彦さんのもの。

 『見い出された時』からの引用が、読み聞かせオヤジの心に響きました。

 一人ひとりの読者は本を読んでいるときに、自分自身の読者なのだ。作品は、この書物がなければ見えなかった読者自身の内部のものをはっきり識別させるために、作家が読者に提供する一種の光学器械にすぎない。


 読み聞かせに関係させてみると、非常に深い言葉ですよね?

 ところで、肝心の問題。

 なにを旅行中、こどもに読み聞かせるか?


ハックルベリー・フィンの冒険〈上〉 (岩波文庫)ハックルベリー・フィンの冒険〈上〉 (岩波文庫)
著者:マーク トウェイン
販売元:岩波書店
発売日:1977-08
おすすめ度:5.0
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 やはり、マーク トウェインでしょう。
 
 これについては、また別の機会に。

いればのパッコン復活??松田もとこ『いればのガタくん、そらとんだ』をどう解釈する?

いればのパッコン へんだよじいちゃん!/松田 もとこ

¥1,260
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 山口県の田舎に帰省すると、事件が起きていた。

 なんと、あの「いればのパッコン」が復活しているのだ!

 しかし、「いればのガタくん」と呼び名は変わっているのだが‥



いればのガタくん、そらとんだ/松田 もとこ

¥1,365
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 作者の松田もとこ先生は山口県在住であり、しかも実家の近くにお住まいということで、我が家もおつき合いさせていただいている。

(なので、パッコンシリーズも我が家には全冊そろっているのだ。)

 今回、私をおいてママとこども2人が先に山口に帰省した際、松田先生のお宅でパーティーがあり、そこで『いればのガタくん、そらとんだ』のサイン入り絵本をいただいたという次第。

 しかし、だれも「なぜ、パッコンではなく、ガタくんになっているのか?なぜ絵も変わっているのか?」という謎について、松田先生に聞いてはくれなかったようだ。

パッコン→ガタくん
(孫)しゅうくん→かずくん
(猫)ムム→モモ

 このことに動揺したのはお父ちゃんだけなのでしょうか?

 去年だか、山口で絵本イベントが開催された際、荒井良二さんが松田先生に、「パッコンは復活しないのですか?」と尋ねたという話は聞いていたので、復活についてはなんとなく予感はしていたのではあるけれど。



いればのパッコンぜったいぜつめい!/松田 もとこ

¥1,260
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 振り返ると、パッコンは『いればのパッコンぜったいぜつめい!」で、北島三郎の『まつり』をみんなで大合唱した次の日、じいちゃんの死とともにこの世からいなくなったはずであった。

 さいごに、しのぶせんせいは、コップの なかの
パッコンを とりだして、
 おじいちゃんの くちにはめました。
 かんごしさんたちが、おじいちゃんを あらって
かんおけに ねかせます。


 ところが、孫のしゅうくん(かずくん)は、じいちゃんの死後、ショックで大変な状態になっていたらしいのです。

 おじいちゃんの おもいでが、こわれていきます。
 つないでもらった てのゴツゴツが こわれていきます。

 かずくんは、ぶったおれてしまいました。
 むねが、どっくん どっくん なみうって、
 ねつが、どんどん たかくなって、
 「ほねー、ほねー」
 うなされています。


 そこで、しゅうくん(かずくん)を助けるべく、パッコン(ガタくん)の復活と相成ったのです。

 ガタくんは、もう人間のような体を持たず、その代わりに天使の羽を身につけています。

 そして、ガタくん以外にも、墓に眠る「入れ歯の妖怪?」たちがたくさん登場!!

 松田先生のテーマとして「死」というのは欠かせませんが、「死」を乗り越えるということは、人間に試練を与えるものであり、名前の変化など当然引き起こしてしまうほど過酷なものということなのかもしれませんね。

こどもを異界に連れ去る、内田りんたろう『がたごとがたごと』、オトナは『さらば愛しき人よ』

がたごとがたごと (絵本・こどものひろば)/内田 麟太郎

¥1,365
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 人はたやすく異界へ連れ去られる。

 草薙君もアルコールでブラックアウトして異界に突入。
 そしてお父ちゃんは、人事異動で過酷な労働環境に突入!
 読み聞かせもままならぬ深夜残業、休日出勤の世界。

 内田麟太郎『がたごとがたごと』は、そんな異界へのアクセスを絵本で物語る。

 しかしここにストーリーはない。
 

 おきゃくがのります ぞろぞろ ぞろぞろ

 がたごと がたごと

 おきゃくがおります ぞろぞろ ぞろぞろ


 この3つのフレーズが繰り返される。

(1)30人くらいのお客が電車に乗り込むプラットホーム
(2)移動シーン
(3)そして、異界のプラットホームで降車

 この列車に乗ってしまうと、乗客はすべて動物の姿へ化身したり、妖怪やお化けに変身したり、時代劇の世界に入り込んだりしてしまう。
 その経路は、時間を飛び越え、異次元を通り抜けているようだ。その理由や因果関係は不明のままだ。

 変身前と変身後の乗客の姿を、見比べてみるのも楽しい。読むたびにこどもの気になる人物も変わってくるから。

 
 今日の日経朝刊で、詩人の吉増剛造さんが「ストラスブルグ紀行 唐十郎さんとの出逢い」という寄稿をしていた。

 この中に、唐十郎さんの記憶の部分があり、読み聞かせと異界の関係を考えさせられた。

 鳥もちがついた褐色の紙が各家の天井からぶら下げられていたころの、‥‥紙芝居の親父は、とんでもない大きな他人で、自転車は大きくてなにか犀(サイ)のような感じで、ある暗闇のなかを、はっはっと息を吐いて歩いていく人間の臭い、自分の体に密着してくる他人の臭いを、自転車ごと紙芝居屋がしょっていた。

 読み聞かせは、法螺(フィクション)による異界へのアクセスだが、その語り部も、このような異形なイメージを持たれているとは‥
 読み聞かせオヤジは、そんな記憶となってこどもの心にのこるのでしょうか?


さよなら、愛しい人/レイモンド・チャンドラー

¥1,785
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  村上春樹が、レイモンドチャンドラーの探偵小説『長いお別れ』に続いて『さよなら、愛しい人』を翻訳した。

 お父ちゃんは、お昼休みと深夜の帰路にこの本を手にして、私立探偵フィリップマーロウとなり異界へ突入している。

 高校生の頃から、繰り返し読んでいても、新訳で読むと新鮮な視点で読むことができる。
 清水俊二訳のチャンドラーよりも、正確で、省略なく全部丁寧に訳されている。
 それは『長いお別れ』も同様で、解像度が高くなったという感じ。

 しかし、すこしつるりとした感じもする。なにか異質感が落ちたというか、古くさい、時代の染みが消えたというか‥

『チョコレート工場の秘密』を読み聞かせた後、DVDを見せるべきか?、家族で激論バトル

チョコレート工場の秘密 (ロアルド・ダールコレクション 2)/ロアルド・ダール

¥1,260
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 5歳の長男に『チョコレート工場の秘密』を毎夜、すこしずつ読み聞かせ楽しんだ後、ティムバートンの『チャーリーとチョコレート工場』をDVDで観た。

 すると、家族内で賛否両論の議論となった。



チャーリーとチョコレート工場 [DVD]

¥1,169
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 ママは、「映画では、チャーリーが黄金切符を手に入れるのが早すぎるわ。手に入れるまでのドキドキハラハラが読み聞かせるときの醍醐味だったのに。」

 「こどもの想像力のためには観なくてもよかったかも。」

(※黄金切符を手に入れるシーンの読み聞かせは、お父ちゃんが残業で、ママが読み聞かせたのでした。)

 息子は、「僕が思っていたチョコレート工場とちがってたぁ。」

 「でも、おもしろかったけど。」


 しかし、ホラ吹き父ちゃんとしては、両方体験することをお薦めしたい。

 ティムバートンは、言うまでもなく非凡な監督である。
もちろん原作にプラスしてオリジナルなアイデアを盛り込んでいる。

(1)ウィリーワンカの奇抜さと社会性の欠如をより際出させている。

※マイケルジャクソンそっくり?
※ジョニーデップが腹話術の人形のような顔で表情を完璧にコントロールしている。

(2)登場するさまざまな装置のデザインが卓越している。

(3)ウィリーワンカ(子)と歯医者の父の葛藤の物語が新たに創造されている。

 父子の葛藤のテーマは、この前に触れたティムバートンの『ビッグフィッシュ』でも物語られていた。

※『ビッグフィッシュ』では父がホラ吹きで、『チャーリーとチョコレート工場』では、子がホラ吹きだが‥

 ウィリーワンカ氏は、原作にはない親/家族に対するトラウマを抱えている。

 幼少時代に強要されていた歯の矯正器具は、星飛雄馬の大リーグボール養成ギプスのように大げさに、父親の拘束を表現している。『巨人の星』も父子の葛藤の話だ。

 また、個人的には、チョコレートが全世界で販売開始という時に、

(4)モロッコのマラケシュが登場する。

 そんなところも気に入った。


 それにしても、ウンパルンパ人がイメージと違うと言うのは、家族の一致した意見だ。

 フレンチの巨匠ジョエルロブションとか、レッドツェッペリンのジミーペイジを黒くして小さくしたみたいな感じ‥


不眠のブロガー、夜の夢を見る。長新太『ごろごろ にゃーん』


ごろごろにゃーん(こどものとも絵本) (こどものとも傑作集 68)ごろごろにゃーん(こどものとも絵本) (こどものとも傑作集 68)
著者:長 新太
販売元:福音館書店
発売日:1984-02-15
おすすめ度:4.5
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 昨夜は眠れなかった。
 朝まで。

 5歳の息子の歯ぎしりを何度も聞いた。
 ぎりぎり、きりきり。

 醒めた悪夢。

 ごろごろ にゃーん ごろごろ にゃーん と、
 ひこうきは とんでいきます

 の繰り返しの絵本。
 巨大なクジラや蛇、集合住宅、鉄橋の通り越すなぞの猫飛行機。
 なにかを現す無意識のかたち。
 長新太さんの『ごろごろ にゃーん』のような不眠の夜だった。

 眠る前にブログを書くと、脳が覚醒して不眠になりやすいという。
 しかも、鬱にもなりやすいと。

 真夜中のブロガーの皆様、気をつけましょう。

 
 やはり、醒めた悪夢といえば、
 サルバドールダリでしょう。


ダリ全画集 (25周年)ダリ全画集 (25周年)
著者:ロベール・デシャルヌ、ジル・ネレ
販売元:タッシェン
発売日:2007-08-31
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ダリ (ニューベーシック) (タッシェン・ニュー・ベーシックアート・シリーズ)ダリ (ニューベーシック) (タッシェン・ニュー・ベーシックアート・シリーズ)
著者:ジル・ネレー
販売元:タッシェン
発売日:2000-07-01
おすすめ度:3.0
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最近、長男はジョンフォード『駅馬車』DVD、次男は荒井良二『バスにのって』の繰り返し

GPミュージアムソフト 駅馬車
GPミュージアムソフト 駅馬車


 最近、近くの商店街でこどもと散歩中に本屋で
ジョンフォードの西部劇、『黄色いリボン』と『駅馬車』のDVD2枚組(なんと500円)を購入してみた。

 『駅馬車』を、5歳の長男と観たら、これが素晴らしくよかった。

 お父ちゃんも、中学生くらいにテレビで観た記憶があったけど、かなり新鮮な気持ちで観ることができた。

 もちろん、5歳とはいえ、長男も熱中して観ていた。
 ところが、字幕のみで吹き替えはないので、字幕をこどもでもわかるように噛み砕きながら、読み聞かせしなくてはならない。

 「えーっ、インディアンって悪いのぉ?なんで、頭の皮をはいじゃうのぉ?」

 なんて、質問攻めになると、適当にごまかしながら、しばらくして慣れてくるとだんだんと映像の物語力でこどもも理解できるようになってくる。

 そもそも、巨匠ジョンフォードは、サイレント時代から映画を撮っているので、言語に頼らず、映像で物語れるのだ。

 筋書きは単純だ。
 父親と弟の敵討ちのため脱獄したリンゴキッドが、駅馬車に乗ってアリゾナのトントからメキシコのローズバーグまで向かう。そして、ローズバーグでは命をかけた決闘が行われる‥というもの。

 しかし、道中の映像の豊かさは言語に絶する。
 インディアンに襲われたり、馬が疾走し河を渡り、歌あり、出産あり、アル中のドクターや娼婦の人生が交錯し、最後は恋愛ものにもなる‥

 そのすべてが映像で紡がれる。
 
 個人的には、最後、夜のローズバーグでリンゴキッドと女が決闘に向かい、ふたりで歩くシーン。光と影がとてつもなく美しくふたりの身体を通過する。

 また、キッドの父親と弟を殺した敵3人が、バーに到着するシーン。バーの入り口に大きな馬が3頭現れ、3人が乗り込んでくる。
 今の時代の目で見ると、幻想的としか言いようがない。

 そして夜のローズバーグの雰囲気。暗闇。1885年の田舎のなにもなさ、というか殺風景というか、独特な感覚がする。
 
 もちろん経験したことはないが、落語の世界の夜の江戸もこんな感じだったんじゃなかろうか?

 
 ところで、次男は荒井良二『バスにのって』がお気に入り。毎日、お父ちゃんに何度も読ませる。

 最近は、絵の細部にまで入っていって、

 「これ、ぼくだよぉ」(と、ギター弾きを指す)
 「お父ちゃんは?」
 「これだあ。すごいだろ、ブーン。」(とバイク乗りを指す)
 「お兄ちゃんは?」
 「これじゃない。」(と、ブタを指す)
 「やだぁぁ」(と怒りだす)

 みたいなこと毎日してます。

 ママに読んでもらいたい本は別にあるみたいですよ。













こどもにはエロすぎる?江戸川乱歩『妖怪博士』はコドモもオトナもヨロコぶ一石二鳥もの!!

妖怪博士―少年探偵 (ポプラ文庫クラシック)/江戸川 乱歩

¥609
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妖怪博士 (少年探偵)/江戸川 乱歩

¥630
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 乱歩の東京は、日が暮れるとたちまち魔都と化す。

 麻布の六本木でさえ、さびしい屋敷町であり、人通りも少ない。
 一人で家に帰る少年は、どんな恐ろしいことが起こるのか、とんでもない事件に巻き込まれるのではないかとイマジネーションを掻き立てる。

 少年探偵団員の相川泰二少年は、ある怪老人を尾行する。


 さて、見えがくれに尾行をつづけていきますと、怪老人はそれとも知らず、ますますさびしい屋敷町へと、テクテク歩いていきましたが、みょうなことに、町かどへ来るたびに、かならず地面にしゃがみこむのです。そして、前後を見まわしながら、はくぼくで、例の丸に十字の符号みたいなものを書くのです。

「やっぱり、あいつあやしいやつだ。町のまがりかどに来るたびに、あの符号を書くのをみると、きっと仲間の悪者に、どこかへの道順を知らせるためにちがいない。」

 泰二君は心の中でつぶやきながら、いよいよねっしんに尾行をつづけました。

 ところが、怪老人は、陰気なうすきみの悪い洋館にしのびこみ、窓をよじのぼって部屋の中に侵入してしまいます。

 泰二少年は、呼びりんを押して、家人に危険を知らせようとしますが、だれも出てくる気配はないので、意を決して窓を覗きます。


 泰二君は、胸をドキドキさせながら、一ミリずつ一ミリづつ、まるでなめくじのはうような速度で、用心にも用心して、窓のところへ顔をあげていきました。

 この後の書きっぷりが、素晴らしい!乱歩の少年ものの、読み聞かせドキドキテクニックが炸裂します。
 このとき、読み聞かせしながら、こどもの顔を観察すると、ものすごく物語に引き込まれてワクワクドキドキしているのがわかります。

 のぞいたかと思うと、泰二少年の顔色がサッとかわりました。黒目がちのかわいらしい両眼が、とびだすのではないかと思うばかり見ひらかれました。なにかしら、よほどおそろしいものを見たのにちがいありません。

 ああ、部屋の中にいったい何があったのでしょう。もしやそこには、あの怪老人が、「おまえの来るのを待っていたぞ」といわぬばかりに、おそろしい顔でこちらをにらみつけていたのではないでしょうか。


 ここで最初の「奇怪な老人」という章が終わります。昔の紙芝居のように続きが知りたくてたまらなくなりますよね。

 泰二少年は、部屋を見回しますが、予想に反して、そこには老人の姿はどこにもありません。もっと意外なものが‥

 それはうす暗い部屋の中に、パッと一輪の花が咲いたように、美しい色彩のものでした。ひとりの美しい少女なのです。目もさめるばかり、はでな洋装をした、十六、七歳の絵のように美しい少女なのです。

 しかし泰二君は、そのおねえさまの美しさにおどろいたのではありません。少女のむごたらしいありさまにギョッとしたのです。少女は洋服の上から、太いなわで、手足をグルグル巻きにしばられていました。口には白い布で、さるぐつわさえはめてあるのです。


 うーむ。妖しすぎる。少年ものなのに、大人の世界。

 しかし、まだまだこれでは終わらない。乱歩は、驚きのうえに驚きを重ねていく。

「しっかりしてください。ぼく助けに来たんです。」
と、少女が安心するようにささやきながら、だんだん手足のなわをといていきました。

 ところがみょうなことには、なわがおおかたとけてしまっても、少女は石のように身動きさえしないのです。


 えっ死んでるの?死後硬直?と読者を脅しつつ、意外な展開‥

 そして、少女の顔をつくづく見ますと、泰二君はまたしても仰天してしまいました。ああ、なんということでしょう。あんなにも胸をドキドキさせて、助けてあげようと骨折ったこの少女が、人間ではないことがわかったからです。それは、まるで生きてるようによくできた、ろう細工の人形がしばられて、さるぐつわをはめられて、そこにころがっていたのです。

 えええっ。と読みながら絶句。鳥肌が立ちました。なんともエロい。(こどもにゃわからんでしょうけど)

 ろう人形は、そこによこたわったまま、かわいらしいガラスの目で、じっと、泰二君を見あげていました。

 ここまでは、『妖怪博士』のほんの導入部分です。

 こどもの頃、読んでいたはずなのに、大人になって読むと、より深くエロく読むことができる。

 こどもも喜ぶし、大人もヨロコぶ。一石二鳥なのでした?

 5歳の保育園児に、毎夜2章ずつ寝る前に読み聞かせしてます。怖い声で。
 「もっと、読んで」とせがまれますよ。

 「きょうはここまで。あしたはねぇ、『きみが犯人だ』という章だよ。おたのしみに!おやすみ。」